先日ツイッターでちょっとアンケートらしいツイートをしまして
圧倒的に多かった
②担任にうまいこと配慮をねじ込む問題
について書いてみたいと思います。
なんと偶然にも同じタイミングでなないおさんも同じネタで記事を書こうとされていることがわかったので今回はコラボ企画にしようよ!ということで4/18 PM8:30に同時にアップすることに。(双方がアップされた後でどっかにリンク貼りますね〜)
ファイティングポーズになってませんか?ドッジボールになってませんか?
学校と交渉していく上で一番大事なのが、どんなスタンスで臨むかです。
ツイッターでよく私が言及するのが「ファイティングポーズをとってませんか?」ということ。こちらが臨戦態勢をとれば当然ですが向こうもそれに応じることになってしまう。
また、要望を「ドッジボールのように相手に投げつけてませんか?」ということ。
自分がやってほしいと考える要望を塊にして相手に「これをやってね!」と投げつけてしまっていたら交渉は成り立ちません。
相手にとって「こちら側の状況を無視している」と受け取られてしまいかねず、関係が悪化したり不信感を抱かれたり、困った保護者だと認定されて話が通りにくくなってしまうかもしれません。
対等にテーブルにつくために
交渉をするためには対等な立場で話し合いのテーブルにつかねばなりません。
学校側と保護者側、どちらが上でも下でもない、というスタンスで臨むことが大切です。
学校・先生は子供を真ん中に挟んで「一緒に育てていくパートナー」という認識を保護者の側が持っていると学校側も同じようなスタンスを取りやすくなると思います。
なにを求めるか、という大きな問題
話し合いのテーブルにつく前の準備として大きな問題があります。
「学校に具体的になにをどんなふうに求めていくか」という課題を整理しておくことです。
ケースによってはここが一番大変だと感じている方も多いだろうと思います。
今回は
- 具体的な困りが明確になっていてどうしてほしいかがある程度見えている場合
- 心配や不安があるけれどなにをどう求めていいかわからない場合
の2つに分けて話を進めてみようと思います。
1、具体的な困りが明確になっていてどうしてほしいかがある程度見えている場合
この場合、上で挙げたドッジボールのように「こうして!」を丸ごと投げたくなってしまうかもしれません。が、それではうまく通りません。
①「母の暴走ではない」と示すための準備
まず準備しておくと良いのが、それを「誰が言っているか」です。
親(特に母親)が希望する、というだけだと根拠としては弱いと私は感じています。
病院の医師や心理士、スクールカウンセラーや教育相談の先生、通級の先生など、親以外の第三者がこの子にとってそれが必要だと考えている、というバックボーンがあると交渉の場で説得力がぐんと上がると思います。
配偶者がいる方であれば「夫も同じ意見である」という項目が追加されるとより良いと思います。
過去に学校の先生方とお話をしていて「母親の暴走」を恐れているのかな、と感じることが何度かありました。根拠なく不安が募って学校に過度な要求をしてくる母親が少なからずいること、そしてそういう保護者対応に困った経験のある先生も多くいらっしゃいます。
こちらが求めることも「お母さんが心配しすぎなんじゃないか」と受け取られると一気に交渉が不利になります。
医師の意見書があればかなり強いですし、ペーパーでなくても「医者(心理士・〜の先生)がそう言っている」という話だけでも自分の暴走ではないのだという表明になります。
私の例だと、過去にはプロ以外だと「親の会で」とか「知識のある友人が」という話を出したこともあります。何でもかんでも出せばいいというわけではないので注意が必要ですが、自分だけが思い込んでいるわけではないということを示す方が話し合いがしやすい、というのは念頭に置いておくと良いと思います。
②自分の案は不完全であることを意識する
具体的な対策を求めたいとして、こちらが想定した具体策を100%通そうとするとうまくいきません。
保護者はあくまでも保護者の目線しかありません。
学校の都合や先生の事情、他のお子さんの状況など学校の先生が見えているものまでは想定できませんよね。
つまり、保護者が想定した具体策は想定の時点ですでに、学校で実行するための完璧な案ではない。片側からの視点しかない不完全なものなんですね。
ですから、その不完全な案を飲ませることはお子さんにとっても良いとは限りません。
そして、学校側の事情が見えていない案だけ出されて「飲むか飲まないか」という話をされてしまうことは先生にとっても気持ちの良いものではないと思います。
③まず、心配ごとを共有
具体的な策を持って話し合いに挑むと、どうしてもそれをいの一番に言いたくなってしまうのですが、そこはまずグッと堪えた方が良いと思います。
まず先生と共有した方が良いのは、策ではなくて
「何が心配か」「どんな困りがあるか」
という、子供本人の困りや保護者の不安などの「ぼんやりしたもの」です。
④お互いの具体策を出し合う
そのぼんやりしたものを共有した上で、
「先生はどんな風に見ていらっしゃいますか」
「学校としてはどんな事例がこれまでにありますか」
など、先生の見立てや学校側の事情、前例などについて質問します。
その会話の中で、
「自分は(例:医師は、カウンセラーは)こういうのはどうかなぁと思うけど学校としてはどうですか?」
と、意見を伺う形でこちらが持ってきた案を先生にも提示すると話がうまく進みやすいです。
⑤100%の答えではなく、落としどころを見つける
②でお示ししたように、自分が考えた案というのは片手落ちの可能性もあるものなので100%通すのはまず無理です。
でも、100%通らず諦める必要もありません。目の前の子供は困っているし、学校はそこに寄り添ってもらえないと困ります。
④のようなやり取りをしながら、こちらの事情と子供の困り、そして学校側の都合、双方が少しずつすり合わせながら、今回の落としどころを見つけることが大切です。
経験から、こちらが望んだ要求が8割通れば大成功、5割くらい受け入れてもらえたら御の字で次に繋げられる、という感覚で学校に出向いています。
⑥次の話し合いにつなげるために
学校と保護者が話し合った末に出した答えが正解とは限りません。
すり合わせていった打開策なので、それが効果があるかどうかはやってみなくてはわからない。
そして、それを学校側に投げるだけだと成果が出ているかどうかも確認ができません。
私は、打開策が決まって先生にお願いをした時、話し合いの最後は「やってみたところでどうかをまたお話ししたい」ということを先生に伝えるようにしています。
2、心配や不安があるけれどなにをどう求めていいかわからない場合
次に、具体的に何をどう求めていいかわからないけど心配や不安がある状態について考えます。
これは、一般化してお話しするのがとても難しいなと思うのですね。
どんな困りがあるかは千差万別だからです。
ただ、取れそうな策としていくつかあげておきます。
①先生に直接聞く
当たり前すぎるけれど当たり前な対策がまずこれです。
具体的に先生に対して、不安な気持ちを話したり、困っていることを話したりすること。その時間を取っていただくこと。
通常級在籍のお子さんの場合は、その話をする場に特別支援コーディネーターの先生に同席していただく、というのも手だと思います。
担任とコーディネーターそれぞれに、どう見ているか、というのを聞いて学校でどんな対応ができるのかについてお話を聞くのも良いと思います。
②専門家(支援者)に聞く
これも当たり前すぎる対策すぎてわざわざ書くようなことではないんだけど、でもすごく大事なことですね。
必要な対策について話していける専門家に一発で出会えるかというとそれはすごくハードルが高い。
並走してくれる支援者に出会えたら本当にラッキーだなぁと思います。
この項目については今の段階でこれという細かいことを書く材料が揃わないので今回はこのくらい触れる程度でご容赦ください。
整理できたら後日続編が書けるかもしれません…
最後におまけ。話し合い方のコツ
ここまでは話し合いを進める手順について書いてきましたが、最後にちょっとだけ私が学んだり親の会で教えてもらったりした、話し合いをするときのコツについて書いておこうと思います。
①ゆっくり、低い声で
高い声、早口だと相手に威圧的に感じられることがあります。
いつもよりゆっくり言葉を出すこと、低いトーンで話すことを意識すると相手に自分の言葉が伝わりやすくなります。
②話の聞き方は「遮らない・相槌・オウムがえし」
いわゆる「傾聴」と呼ばれるお話の聞き方です。
相手が話しているときに遮って自分の話を始めないこと。
これをやると相手から「自分をないがしろにしている」と受け取られたり、不快さを与えて交渉がうまくいかなくなる可能性があります。
相手が話しているときはただ聞くのではなく、言葉の途切れる合間で「うんうん」「なるほど」と相槌を挟むこと。相手が大事なことを言ったときは「〜〜ですね」と同じ言葉を返して確認すると相手に「ちゃんと話を聞いている」「理解している」という印象を与えることができます。
③我が子の話を鵜呑みにしない
「うちの子がこう言ってた」ということを根拠に話をするときに気をつけなくてはいけないことです。
目の前で起こったことを後で言葉にするとき、大人でも自分のフィルターを通してしか話せません。
子供ならなおさら、自分の目線からしか話せませんし、自分がやらかしたことをうまく認識できていなかったり罪悪感からボヤかして話したりすることは十分あり得ます。
発達障害で認知の歪みがあるタイプのお子さんだとなおさら、話を聞くときには注意が必要です。
子供の話はあくまでも子供の目線から見た話であることを意識して話を進める必要があります。ここをすっ飛ばして我が子が見たものが正確であるという前提に立ってしまうと、先生や他の保護者との会話が成り立たなくなってしまいます。
低学年の頃はうまく状況を話せない拙さについて、また年齢が上がっていくごとに意図的に話をずらしたり、家での顔が学校での顔と違っていくことについても意識しておく必要があるかなと思います。
自分が見ている我が子の姿が全てではないのだ、ということを意識しておかないと、学校とのやり取りの中で思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。
④感謝の気持ち、ねぎらいの言葉を忘れない
学校の先生方はクレームを入れられるのは日常、でも成果を褒められる機会はあまりないんだろうな〜とこっそり思っています。
日頃から関係性をうまく築いておくために、先生がやってくれて嬉しかったことや子供が喜んでいること、家で話してくれたことなどを小まめに先生に伝えるようにしています。
また、話し合いの場でもこちらの要求を1出すときは2感謝する、くらいのバランスで先生に負担だけを強いるつもりはないのだと伝えるようにしています。
おわりに
とてもとても長くなってしまいましたが、お役に立てるお話になったでしょうか。
子供に困りがあればあるほど、学校との間でいろんな交渉をしていくことになり親としても負担が大きいなぁといつも思います。
ただ、日頃から意識して学校とうまく関係を繋いでおけば何かトラブルがあったときにも対応がスムーズに進みやすいなぁとも感じます。
次男が小学校の頃、彼がトラブルを起こしたとき周りのお家の方に「イシゲさんのお宅はしっかり対応してくれるから安心してください」と言ってもらえていたと聞いて、頑張ってきてよかったなぁ、ありがたいなぁと思ったこともあります。(と同時に身が引き締まる思いがしたのも本当のところですが)
何かあったときに駆け込む!というのではなく、日常的に担任と信頼関係を築いておくことを意識しておくこと、その上での交渉術と考えていただけるといいのではないかなぁと思っています。