スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

認知特性テストをやってみました。〜光文社新書『医者のつくった「頭のよさ」テスト』より

フォロワーのどなたかが紹介していた、この本。

とても気になったので即ぽちっていたものが届いたので読みました。

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)

医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン (光文社新書)

 

 

最初の方に、6つの認知特性パターンの傾向をチェック出来る35問のテストがあります。この本を買ったのはこれが目的と言っても過言ではありませんでしたので早速やってみました。

 

著者の分類する認知特性は大きく分けて3つ、さらにそれぞれを2つに分けて、計6つのパターンに分けて紹介されていました。

 

A視覚優位者

①写真のように二次元で思考するタイプ

②空間や時間軸を使って三次元で考えるタイプ

B言語優位者

③文字や文章を映像化してから思考するタイプ

④文字や文章を図式化してから思考するタイプ

C聴覚優位者

⑤文字や文章を、耳から入れる音として情報処理するタイプ

⑥音色や音階といった、音楽的イメージを脳に入力するタイプ

 

自分でまずやってみて、ひええええって思うほどハッキリと凸凹が出ていました。

①と③が著者の設定する平均値を大きく超え、②と④は平均値、⑤と⑥は平均値のはるか下方。

あぁやっぱり、という感じです。

①は、書籍の中では「漫画の脇役の顔も描けるアーティスト系」と表現されています。目から入った情報をシャッターを切るように記憶している傾向がある系統、カメラアイの持ち主とも言われるらしく、それは確かに身に覚えがあることではあります。何かの記憶を辿る時も、自分の目で見たその場面がアルバムを見るように思い出されるんですね。例えば私はさっき救急車を見たんですが、それを夫に話す時に脳に浮かんでいるのは、自分の角度から見えた救急車が停まっていた場面の静止画像です。ドラマの話を人にする時も、そんな感じ。動画ではなくコマ送りのように場面場面を思い出すことが多いです。

 

③は、イメージを言葉にする事が得意、だそうです。

耳から入って来た言葉や目から受け取った情報を映像にして記憶する傾向がある、とのこと。そしてその逆に、イメージを言語化するのもスムーズに出来るのだとか。

これ、思い当たる出来事が先日ありました。息子に受けさせた発達検査のなかに、耳から入る情報についてのテストがあったんですね。録音された音声を聴いて、直後にその音声を同じように言えるか、というテストです。

息子はほとんど正確に復唱していたのですが、1問だけ名詞を入れ替えてしまう間違いをし、少し後に「あ、逆だった」と言い直したそうです。

その問題は「カゴの中に、アメと石が入っています」というような音声で、彼は「アメと石」の部分を「石とアメ」と言ってしまった、という、そういう感じの間違いです。

結果について先生と話しているときに「彼は恐らく耳から入った情報を画像にして記憶していると思います」と言われました。音声を文字として記憶しているとそういう間違いは起こり得ない、画像に変換しているから、復唱するときに自分の頭のなかにあるカゴの映像の中にある石とアメを想起しながら言葉に変換して、入れ替わりのミスが起こったのではないか、とのこと。

 

発達検査の他の項目でも彼は視覚優位の傾向が強かったのでその説明には納得がいきました。そして面白かったのが、その話を先生としているときの私の頭の中にも「カゴのなかにはいった石とアメ」の画像が浮かんでいたこと。

 

先生?今、私の頭の中にもカゴの映像があるんです、と話すと「特性は遺伝的要素も強いから、お母さんも同じタイプかもしれませんね」と。私は今まで、それが普通だと思っていたんですね、みんな、そうやって言葉を聴いたら画像が脳に浮かぶものだと思い込んでいた。でも目の前にいる先生は、文字列として記憶しているという。その不思議な違和感がとても面白かった、と思い出している今もやっぱり、私はその時に座っていた場面そのものの静止画像を思い出していたりするわけです。

 

高かった2つの特性とは真逆に、⑤と⑥はとても低い数値でした。とくに⑥はもう悲惨な程に低かった。

一度聴いただけの曲を記憶して正確に歌えたり、声真似や外国語の発音がとても良い、という傾向、だそうです。この本に書かれている事に関してはあまりハッキリ苦手だと認識した事は無いのですが、仕事の指示を耳で聞いて正確に記憶することはとても苦手なので聴覚に関する特性が低いのは納得の行く結果ではありました。

 

テストのあとには、それぞれの特性の説明が続きます。

男女の脳の性差について「話を聞かない男、地図が読めない女」を引用していたり少ないソースから傾向を断定しているような論調の部分もあったりとやや残念な印象もありましたが、全体を通して発達障害だからどうだ、というスタンスではなくそれぞれの認知特性をうまくいかしながら社会の中でどうやって生活していくかという視点で書かれている点は参考になる部分も多かったです。

タイトルの「頭のよさ」という言葉は本の中でも何度も出てきますが、要は学力の高さではなく、認知特性の高さやそれを活かせているか、という感じの意味合いで使われています。

 

認知特性に合わせた仕事の紹介なども載っていて、まぁこれは発達障害として悩んでいる人にとっては他の要素との兼ね合いも考えると簡単には考えられないと思うので若干強引というか、一般化しすぎな感は否めないのですが診断を受けるほどではないけど自分の特性を把握したり進路を考えたりしたいという程度なら参考になるのかな、と。

 

簡単なテストだし自分でやる形式なのであまり信頼しすぎるわけにはいかないかな、と思います。あくまで雑誌に載っているような類いの傾向チェックという感じ。

でも自分の認知特性にどんな傾向があるのか、配偶者や仕事の同僚がどんな特性の持ち主なのかを知ったり考えたりすることで人間関係を円滑に回し易くなるきっかけになるのかもと思います。

 

いやその前に、認知特性にこれだけパターンがあるということを知る、という一番のメリットがありますね。同じリンゴを見ても、それをどう記憶しているかは人により全く違っていたりもする。苦手なのは努力が足りないからじゃなくて、認知の仕方が違うから。

私の脳とあなたの脳が同じじゃない、ということを考える導入として、新書という意味でもお手頃だし手に取り易いんじゃないかな、と思います。

 

余談ですが、このテスト、夫にもやってみました。

普段から彼は私が何度も何度も試行錯誤を繰り返して思考を捏ねくり回してやっと辿り着いた結論にいとも簡単に達していたりと定型発達者を臭わせる風ではあったんですが、悔しい程に見事に6つのパターンがどれも標準値の最低値より上という、バランスもとれ、しかもそれぞれが高い数値という結果。

そしてこのテスト、衝動性の強い私が思いつきで今やりたい!って思ってはじめたのですが夫はその時サッカー日本代表戦の観戦中。今やっていい?と聞くと「観ながらでいいならいいよ〜」とのことでテレビで観戦しながら私の質問にハイハイと答えるという、聴覚の認知特性に難のある私には絶対に出来ない手法で答えてくれて、羨ましさと悔しさのあまりその夜飲み過ぎてしまうというおまけがついてきました。

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