発端は、Twitterで某氏が書かれていた、ある小説の一節です。
『日本では、一緒に遊ぶとき、混ぜてくれって言う。混ぜるという動詞は、英語ではミックス。もともと液体を一緒にするときの言葉。欧米では、仲間に入れてほしいとき、ジョインするんです。混ざるのではなくて、つながるだけ。』
『…つまり、日本は、液体の社会で、欧米は固体の社会なんです。日本人って、個人がリキッドで、流動的で、渾然一体になりたいという欲求を社会本能的に持っている。欧米では、個人はソリッドだから、けっして混ざりません。どんなに集まっても、必ずパーツとして独立している。』(犀川 創平)
森博嗣さんの「すべてがFになる」という小説。まだ読めてないんだけど、近所の図書館に蔵書があるみたいなので今度行った時に借りようと思うとります。
で。
私があれ?と思ったのは「一緒に遊ぶとき混ぜてくれという」というこのセリフの基礎になる部分。そうなの?そんなこと言う?
というわけで急遽Twitter上でアンケートを行いました。
「小さい頃、一緒に遊びたい時なんて言ってましたか?今、お子さんはなんて言ってる?」
というわけで集まったのが、これ。
※画像見られないって声もあったのでちょっと軽くしてみたよ。
これでもダメな方いたらまた教えてくらさいな。
ちなみに画像は白地図と↓の調査結果が書かれています。
北海道「いれて」「まぜて」
青森「かてて」
新潟「よせて」「よして」「かてて」
富山「いれて」
群馬「まぜて」
長野「いれて」
東京・神奈川・埼玉「いれて」「あそぼ」
静岡「いれて」
関西「よせて」「よして」
和歌山・三重「いれて」
徳島「はめて」
中国地方「よして」「いれて」
九州北部「かてて」「かたして」「かたらして」「かせて」「かっちぇて」
ざっとまとめてこんな感じです。これ、今のじゃなくて、今大人の世代の皆さんが小さい頃言ってたことば。
アンケートに答えてくれた50名ほどの皆さまありがとです!
これを流して見た感じとアンケートで答えてもらった他の情報から、以下の傾向がわかりました。
・首都圏と近畿中国圏、九州の3つに大きく系統が分かれること
・「いれて」といっている地方部は土着の方ではなく転入の人が多い地域であること
・今の子どもたちには全国的に「いれて」という表現が広がりつつあるが、関西と九州では根強く昔の言葉が残っていること。
・「まぜて」という言葉を使う地域はとても限定されていること。
そして、実際に「まぜて」を使っていたというフォロワーさんからの貴重な情報。
「まぜて」に漢字を当てるなら「混ぜて」ではなくて「交ぜて」のイメージ、交わるという感じ、なのだそう。ふむふむ、面白い。
「混ぜる」というと英語のmix、液体や流動する物体が混ざり合う感じだけど、交わるというと個の存在が残っているようなイメージに感じられるなぁと。
そして九州北部で使われている「かてて」という表現が飛び越えて東北でも見られたことにはしびれました。これはもっと調べたい!(ちなみに、かてて、のルーツは古語の「かつ」ではないかというご意見も頂きましたがその点に関しても別でもっと調べたいなぁと思っております。)
実は書き始めといてなんなんですが、このトピックに関して終着点がまだ定まってません。
というのは、実は私はこの発言が小説のものと思ってなくて、「まぜて」とか言わんやん、その理論はなりたたんやん、という気持ちでご意見を募ったのですね。
でも途中で小説とわかったのでそのへんはフィクションの様相も大きいのかな(ともかくも読んでみないと何とも言えない)というのと、集まった結果が非常に面白く更なる検証をしてみたくなったことと、そんなこんながごちゃごちゃとなってどこに行き着くべきか自分の中でまだ定まらんのです。ゴメンナサイ。
ただ、とりあえずアンケートに答えてくださった皆さんにこんな感じだったよ、というのと、出来上がった地図を見て「うちの地域はこう言ってたよ!」とかそんな追加情報もいただけたら面白いなというのとで、とりあえずのご報告として書いときます。
※「まぜて」と言っていたという方、絶賛募集中です!
余談ですが、冒頭の小説の作者の森さんは愛知県のご出身のもよう。この辺も気になるところです。
というわけで、またいつかにつづく。