今日は幼児の癇癪のお話。ひっくり返って駄々をこねることについてちょっとまとめたいなと。
きっかけは、次男坊と同じ3歳児を持つフォロワーママさんが
「泣いたらしてもらえると思ってひっくりかえって泣くようになる」とよく言われているけど、(そのママさんの子が)ひっくりかえって泣くことについて周りから時々「結局甘くてしてあげてるからでしょう…」とか言われるんだけど、おもちゃ買わない、お菓子あげない、については譲ったこと一度もないだけどな。
というようなことを書かれていたのを見たこと。
それに対して私は「それは違うよ~そんなことないよ~」というようなことを返しました。
子どもを生むまで、私はあの「スーパーとかでひっくり返って駄々をこねる」行為をどの子もやると勝手に思ってました。みんな通る道なんだろうなぁと。私は自分がそれをやった記憶はなかったのだけど、やってる子を見ることは多かったから。
でも長男を生んでみて、歩くようになってスーパーに連れて行ってもあれをやらないんですね。欲しいモノがあっても今日は買わないよと言うととりあえず一緒に黙って帰る。今日はひとつね、と決めていたらそれを守って選ぶ。
地団駄を踏んだり、ひっくり返ってもっと欲しいと泣いたりしないんですね。
そして1歳8ヶ月差で次男坊が生まれました。
そして彼が歩き始め、2歳を過ぎた頃でしょうか。はっきりした年齢は覚えてないのですが、スーパーでひっくり返って泣いた!いや、あのシーンはすごいはっきり覚えてます。思わず携帯カメラを出そうと思ったくらい。
「これだ!駄々だ!」って。
そして娘が生まれ、三男坊が生まれ。
結局、うちの子の中でいわゆるわかりやすい駄々をこねた子は次男坊一人です。
娘はひっくり返ることはなかったけど黙ってうつむいて無言の抵抗をする子です。
三男坊は欲しいモノがあったら癇癪を回すのではなくどうやったら手に入るかをかなり考えているように見えます。その結果が大声や大騒ぎになることもあるけど説得を聞く余裕はある。
ひっくり返って駄々をこねている最中の次男坊には、そういう聞き耳を持つ余裕があるようにはとても見えませんでした。これが欲しい、ここに行きたい、これがやりたい、という欲求以外の脳の回路が全て断たれているような印象。どんな言葉も働きかけも彼には届かないので、そうなったらその場から抱えて連れ出すか、迷惑でなければそのままほっておくか、どちらかしか対処法がないとその時は思っていました。
そのような経験から、私は件のママさんに
ひっくり返って泣く子は「そうしたら買ってもらえることを覚えたからやる」と思われがちだけど多分違うよ。そんなこと誰からも教わらなくてもやる子はやるし、やらない子は絶対やらない。あれをやるか否かは性格。親がどうしたかじゃないよ。
というようなお返事をし、それを公にもツイートしたらなんかかなりの数のRTをしていただいております。
あぁ、みんな気になってたことなんかなぁ、と思って備忘録も兼ねてここに書き残しとくことにしました。
そういう話をしていたら、別のフォロワーさんがある資料を教えてくれました。
http://www1.iwate-ed.jp/kensyu/siryou/h19/h19_615.pdf
岩手大学の特別支援教育についてのテキスト「問題行動の軽減の方法」です。
この中のP14~あたりに、このような駄々をこねる行動への対処法が書かれています。
この中に、最初にフォロワママさんが周りの方から言われていたようなことが書かれていました。
行動の三原則の中の「強化の原理」つまり、子供にとってある行動を起こしたことが自分にとって都合の良い結果に繋がるとその行動を繰り返し行うようになる、というものです。
三原則はほかに
「消去の原理=ある行動が自分にとって良くも悪くもない結果が繰り返されると次第にその行動をとらなくなる」
「罰の原理=ある行動が自分にとってよくない結果に繋がるとしばらくはその行動をとらなくなる」
というもの。
このテキストの中では、消去の原理を利用することで問題行動を減らしていく方法が勧められていました。
このテキストの内容は、発達障害等支援を必要とする子どもたちを教育する立場の方を対象にしたものだと思います。読んでいて、応用できるなと思う部分、納得のいく部分も多くありました。
最初に触れたフォロワーママさんが周りの方から言われた言葉も、まさにこのような裏付けもある、間違いではない助言かもしれない。
でも私は、ちょっと待てよ、と思ったんですね。
このテキストで触れられている子は幼児期、つまり満年齢で4歳~位の子を対象にしているんですね。でも、ひっくり返って泣くお子さんをお持ちの親御さんならわかると思いますが、最初に駄々をこねたの、もっと前だよね?
このテキストでは、子供が「やってみたら良い結果が得られたから続ける」という捉え方で書かれています。でも我が子や周りの子たちを観察する限り、彼らはそんな先を見越しての行動をしているようにはとても見えない。
実際、件のママさんのように「買ってやった(要求を飲んでやった)覚えはないけどやる」という方はかなり多くて、私も次男坊がどんなに泣いて騒いでもその癇癪を理由に買ってやったことは一度もないけど、彼は小学校にあがる少し前まで、欲求が我慢できなくなるとどこでも構わずそれをやってました。最近やっと、人の目を意識したり、言葉を聞き入れる余裕が出てきたけど。
2歳そこそこの彼らはそういう小難しい思考回路を経ているのではなく、欲しいという気持ちに支配されたがゆえにもうどうしようもなくてその感情を爆発の集大成が、あのひっくり返ってのパニックなのではないかなぁと。
それを、誰かがやっているのを見たわけでもないけど日本各地の子がやってる(世界中でやってるのかな?それはそれで興味深いなぁ、調べてみたい。。。)わけで、あの行動そのものは、私は後天的に学んでからやり始めることというのではなくて、子どもたちのなかの一部が自然発生的にやることに思える。
一部の子たちが2歳くらいでやり始めるその行動が、認知能力の向上とともに恥ずかしさやそれでも買ってもらえないという経験の蓄積などの要素でだんだん減っていくのかなぁと思う。その減っていく時期や過程はまた人それぞれ違ってると思うのだけど。
今回は支援が必要な子のテキストを引用したけど、私はそれをやる子が全員発達障害だ、というわけではけしてないと思う。発達障害はオンオフ(発達障害か、否か)ではなくて、健常~ちょっと個性が強い~支援が必要になるというようなファジーなもので、この傾向があるからそうだと断定できるようなわかりやすいものではないですから。実際、支援学級でない子でもいろんな個性があるように、発達障害を持つ子の支援者向けのテキストは健常児にも応用が効くものは多いと思いと感じます。
本題に戻ります。
私は、今回のやりとりを通して「ひっくり返って駄々をこねるのは何故か」という問いに対して「それは個性だから理由なんてわかんない」と答えたい。
何か見て学んだから、親がどうしたから、誰かがどうしたから、そうなった、わけではないの。
そういうふうに欲求を表現する、という先天的な個性、と私は思います。
そして、まだ言葉がうまく使いこなせない2~4歳くらいの子にとっては、なにか対処をしたから劇的な効果があるわけでもない。ただその場から連れ去るとか、待つとかしか対処はない。
件のママさんも言われてたように、簡単に言われるんですよ。厳しくしつければ、とか、買ってやらなければ、やらなくなるよ、って。甘やかしてるんでしょ、って。
でもね。
そんなこたないんですよ。
母ちゃんも、そんな癇癪まわして泣いてる子に対峙して「屈してなるものか」って歯を食いしばってんですよ。買って、泣き止ませたほうが楽だもの。でも、それは躾にならないし、それで簡単に解決するわけじゃないことがみんなわかってるから、だから頑張って踏ん張ってる。
※実際、そういう状態の3歳位の子にじゃあって買ってやっても「やっぱりこれがよかった」とか「それじゃない」とか、パニクってうまく選べなくてさらに火に油を注ぐことにもなりかねなかったりします。買えば済むほど単純じゃなかったりするのが余計難しいところ。
子どもがひっくり返って駄々をこねる行動に困っているお母さんも多いと思う。
私も4~5年前は本当に嫌で、買い物に行っても欲しがって泣く、公園に行ったら帰りたがらなくて泣く、景品が当たる会に参加していたら欲しいモノが当たらなかったと最後まで泣く、そんな次男坊を連れ出すのが本当に嫌で、引きこもっていた時期もありました。
そんな彼はもう7歳で、ひっくり返って泣くことはもうありません。
でも、やっぱり何かの機会には楽しさから抜け出すのがいやで泣いたり、いつまでも引きずってその場の空気を乱したりする傾向にあります。これは、彼の個性なんだろうなと思う。うちのほかの3人も、それぞれいろんな個性があります。そのなかのひとつなんだろうなと。
育てにくい子、という言葉が胸に刺さるお母さんも多いと思う。
でも育てやすい子、聞き分けの良い子、っていうのは結局は大人にとって保護者にとっての都合が良い子、っていうだけだと思う。
うちの長男は一見聞き分けが良い子だったけど、でも私やオットの顔色を見て本音を言わずに黙ってしまったりする傾向もあるから掘りさげて本音を聞き出さないと後々禍根を残したり心に傷を残してしまったりするから注意してる。
娘はこうしたい、これが欲しいってはっきり言えないで無言の抵抗をしちゃう子だから、親はその場でイライラするし、幼稚園とかでは先生や友達に本音を言えず飲み込んでストレス溜まったりもしてるみたい。あとから爆発することも。
どっちも、その場で泣き叫んだりしないから親としては割と楽だけど、じゃあそれでほっといていいってわけでもなく。
親のせいじゃないよっていうのは、すべてのケースにおいて親が全然悪くない、って弁護したいわけじゃないの。
上に書いたテキストのやり方が功を奏するようになるのは多分幼稚園年中~年長児くらいかな、言葉でのやりとりが上手になってから。それくらいになってから対応をうまくやればだんだん収束する方向へ持っていける、そこからは親の手腕が試されるとこだと私も思います。
ただ、まだ小さい、言葉でのやりとりがうまくいかないくらいのころは親がどうしたらってもんでもないし、何より「それをやりはじめるかどうかに関してはあくまで個々の性質で親の対応とは無関係」と言うのは声を大にして言いたい。
ここ、大事だから太字にして線引いとく。(ブログ書き始めて初めてやった・笑)おわり。
加筆します。 フォロワーさんからのご指摘で、あのテキストの強化等のやり方は意思の疎通がはかりづらい自閉症児に効果があるやり方だと言われているそうです。 だとしたら意思の疎通がはかりづらい小さい子にも、とも考えられるのかなぁ。 私はちょっと違うような気もする。 先天的なものだ、という話だけをするならあのテキストことは触れなくても良かったんだけど、ともかくも備忘録としてリンクは残しときたかったのでこのままにしときます。