スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

手作りグッズと母の愛


聴き方話し方実践、その後なかなか試すタイミングが見つからず、成功例も失敗例も得られておりませぬ、すいません。

 

今日はちょっと違う話。

 

毎年この時期になるとTLに流れてくる話題があります。それが、園や学校で使う布物を「手作りすること」と「母の愛情」に関するツイート。

 

昨日もたまたまそれを見かけまして、あぁ時期ですなあと思った次第です。

 

子どもがいない方にはピンと来ない話なのかもしれませんが、自分の小さい頃にもたぶんあったと思う。幼稚園や保育園、小学校ではこの時期くらいからの入園や入学説明会でプリントが配布されます。

図書の本を入れるバッグだとかスモック、お箸入れ、等々、施設によってかなりの差があると思いますがそれらの細かい寸法が書かれたプリント、要は、入園入学後に必要なそれらのグッズを「用意してきてください」という指示が出るわけです。

 

それを受けて、またはその話を聞いて、この時期紛糾するのです。

「そんなの既製品でいいじゃん、そんなとこで母親の愛情うんぬん言われても」

というような感じのツイートが並んで。

 

それを毎年ふんふんと思いながら眺めておりまして、ふと疑問がわきました。

この、手作りグッズ推奨の流れの根本にあるのは「母親の愛情至上主義」なのか?と。

 

そこで聞いてみたんですね、フォロワーの皆さんに。

お宅の園はどうですか?手作り推奨ですか?お母さんの手作りでと指定されていますか?愛情うんぬん言われますか?って感じで。

 

集まってきたのは結構面白いご意見でした。

ざっくりまとめると

  • 「お母様の愛情を込めた手作りの…」という指示がある園もある。(私立や国立小学校お受験向けの園(ハイソな専業主婦家庭多)に多い印象)
  • 母親が作るように、という指定を明記していないケースも多い。
  • 手作りが推奨される背景には、施設の構造上の理由(床から何センチの高さにバッグをかけなくてはならない、等)や、子どもが見分けやすくなり紛失や取り違い等が減って保育がスムーズに進む、同じ既製品が並んでよりきれいなほうを持ち帰る子や親が出るなどのトラブルを避ける(実際にあったらしい)ため、等の預かる施設側の利便性やリスクヘッジの側面も強い。
  • 「手作りにかかってしまう時間をお子さんとの時間に使って欲しいから」という理由で既製品OKと明言している園もある。
  • インターナショナルスクールではそのような準備の必要は無い。
  • 既製品でも良いけどアップリケ等何か一手間加えて欲しいという園もある。(理由は上記のような見分けという声もあり、不明なものもあり)

 

色んなご意見を拝見していて見えてきたのは、手作りしてくださいという学校や園の要望の背景にあるのは必ずしも母の愛情を測るためではないということ。一部にそういう傾向の園があるのもわかったので、実際にそう言われて困惑したり、無理だからと入園を諦めたりということも現実にあると思います。

 

では、です。

私がここから導き出したいのは「手作りグッズが母の愛情を示すものであるのか否か」ではありません。これに関しては私はこれまでのエントリで書いてきたことにもつながりますが「そんなこと周りが決めることじゃないよ」と思っています。

周りの子がみんなガッツリ手作り雑貨を持たせてもらってるのに自分だけ違って悲しい、というケースもあるだろうし、既製品を一緒に買いに行って選んで満足するケースもあると思う。大事なのは周りの声じゃなくて、今自分と自分の子がいるその環境の中で我が子がトラウマを抱くような事態になってないか、喜んでいるか、というそこを見ればよいのであって、外野がどうこういうのなんて気にしなくていいと思う。

 

私がここまで書いてきたことの結として書きたいこと。それは

「表面的なことに囚われて自分が責められてると思ってないですか?」

ということです。

 

既製品にはないサイズのプリントを見せられて、用意してくるよう言われる。

自分にはそんなスキルはないし、ミシンも無い。

その事態に遭遇したときに、そんな難しいことを母親なんだからできるでしょ、と押し着せられているように感じてしまう。

こういうのを作るのが母の愛情でしょ、と言われているような気持ちになってしまう。

いや、実際それを「母親なんだからしてあげてください」と明言するところもあるんですが、全てがそうというわけではたぶん無いんですね。

うちの子たちが通っている園や学校でよく話を聞いてみてもそうだったように、詳しく話を聞いてみると向こう側が求めているのはそんな母の愛情計測機能ではなくて、そのほうが子どもが使いやすいとか、そのほうがトラブルが起こりにくくて保育しやすいとか、そういうもっと現実的な事情だったりするわけです。それを、毎年のことだからしっかり説明することなく「作ってきてくださいね」で済まされちゃってるだけのことなのかもしれないわけです。

 

でも、それでも母親として傷ついてしまう。

男児母のことを書いたときにも感じたのですが、どうも母親という役割を持った女性の中には周囲から寄せられる相手からしたら何気ない行動にものすごく傷ついてしまうことがあるような気がするのです。私も過去を振り返って、ほんの些細な反応に過敏に反応して自分が責められているような気持ちになって泣いてしまったりしたことがあります。

 

ベビーカーを押しているときにちょっと舌打ちされた、相手からしたらそれは何気ないしぐさだったのかもしれないけど、やられる側はすごく傷ついてしまう。下手したらそれは自分に向けてのものではなかったのかもしれない、でも傷ついてしまう。

 

手作りグッズで母の愛情を測られているような気がしてしまうのも、その傷つきやすさの一端なのかもしれない、と思います。

でも蓋を開けてみたら、向こうはそんなこと思ってないかもしれない。

 

この、無駄に(とあえて書きます)傷ついてしまう自分に気づいたとき、そしてスルーしても構わないものを見極めることを始めたとき、育児はかなり楽になるんじゃないか、とこっそり思っています。

 

入園入学グッズの指示書を手にして思い悩んでいるママさんパパさん、話を聞ける同じ園や学校に通わせている先輩がいたら是非聞いてみてください。たぶん、書かれていることよりかなりざっくりした内容でも大丈夫なケース、多いです。

園に直接聞いたら既製品でも実はOKかもしれません。

サイズ指定してオーダー受けてくれるお店もたぶんあります。ネット上のオークションサイトやハンドメイド雑貨の通販サイトにはこの時期から手作りの布雑貨がたくさん並ぶのでその中に使えるものが安価で出ているかもしれません。

 

ハードルがあるように見えて、実はそのハードル、自分で置いたり高くしたりしてるのかもしれないよ、それ、蹴倒してもいいかもしれないよ、というお話でした。

 

ちょっと追記です。

親(主に母)の洋裁スキルが昔ほど高くない現代においてなぜ学校や園がそれでも要求し続けているのか、考慮しないのか、という疑問が浮かんだのでそれについて追加して考えてみました。

 

私自身が学童や後援会などの運営サイドに回った経験から見えてきたこととして、煩雑な通常業務の中でいろんなことをルーティンに前年通り行うことがとても多いことに気づきました。

お便りなどは基本的には前年度のものをどう変更して出すかということをまずやります。ゼロから今の状況を考えて作り直すということはほぼ無い。

 

学校や園も、おそらくはそのように深く考えることなくずっと前からこの製作物のプリントを用意し続けているのではないでしょうか。これまでずっとやってきたことだから。それで何年もやってきていることだから。

そしてそれを、受け手として「現状を考慮していない、怠慢である」と批判することは可能ですが、そうやって喧嘩腰なのもなぁと。

 

学校や園も、今年度の保護者の洋裁スキルなどしっかり調査しないと分からないと思う。そしてそれを事前に把握するための調査って結構な労力だと思う。

だからこそ私は、ルーティンに行われていることに無理が生じているのなら受け手から声を上げて欲しいなと思う。そしたら運営サイドが利用者の現状に気づきやすいから。

保護者に無理の無い形になっている園はそうやって、オーダーを出す側と受ける側がコミュニケーションを重ねて少しずつ現状に沿ったものになっているんじゃないかなぁ。

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