スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

幼児用ハーネスが深刻な人権侵害なのかを考えました。


思わぬところで続いてしまった幼児用ハーネス3部作

結局、ハーネスとかどうでもいいんですよ。 - スズコ、考える。

幼児用ハーネス再考。 - スズコ、考える。

の最終回です。というか、もうたぶんみんな色々言い尽くしてる感もあるし私もおなかいっぱいなのですが、上のエントリでid:kiya2015さんから頂いた

 

ハーネス批判は単に気に入らないというより深刻な人権侵害だからでしょう。

 

というコメントで宿題を頂いたような気がしたので、その答えを自分なりに考えてまとめておこうと思っての、今日のエントリです。

 

幼児用ハーネスについて批判的な意見を色々と拝見していて、一番多かったのは「見た目への抵抗、嫌悪感」だったのではないかとおもいます。そして、この人権侵害であるという主張をされている方も少なからずいらっしゃいました。

 

一つ目のエントリでkiya2015さんがリンクを貼られていた近田さんの昨年のエントリ。

その近田さんが書いてくださったコメントへの返信としても書いたのですが、私はこの最初の、見た目への抵抗や嫌悪感を抱くことそのものについては誰にも制限は出来ないと思っています。自然発生する感情だからです。

 

反射的に嫌だ、と思うことは仕方ない。それは誰にもとがめられないし、ツイートやブログなどでその感情を吐露することも自由だと思います。

それを見て幼児用ハーネスを使っている人たちがショックを受ける必要はないのです、もしそこでショックだと被害者だと思って大騒ぎしているなら、それは過剰反応だなぁと思います。気にしなくていいんです。虫が嫌いとかと同じ、それぞれの感情なのだから。

 

上記エントリでは、その先に触れました。

感情を抱くことは自由です。でもその自分の感情を他人に押し付けること、その感情を汲み取ってお前が変われと他人に要求すること、脅すこと、「よかれと思って」善意という形で相手を追い詰めること、それは、境界線を踏み越えた、やりすぎの行為と考えます。

その、やりすぎた人たちのことは気にしなくて良いよ、スルーしなよ、というのが、最初に書いたエントリの要旨です。

 

今回のエントリで題材としたいのは、そこではなく、人権侵害ではないのか、と言う意見についての返答です。

 

一晩考えて出た、私の結論はこうです。

「幼児用ハーネスは、子どもの人権を著しく侵害する可能性もあり、また子どもの生命を守る可能性もある道具(ツール)である」

 

所詮、ただの道具だと思うのです。

人類が火を使うようになりました。便利です。でも危険も孕んでいます。うっかり大惨事を起こす可能性もあります。意図的に人も殺せます。

でも、便利な道具として、使い方を誤らないような使い方が長い年月をかけて考えられてきました。

刃物もそう、薬や衣類や食器や乗り物や、日常的に使うたくさんのものは、どれもその危険性と利便性を秘めています。最近だと3Dプリンターでその論議がありましたよね。適切に使うから役に立つし、適切に使わなければ人を殺すことも、人権を奪うこともできる。

 

ツールとは人体の延長なのだ、というのは何で読んだのか。

まだ二十歳そこらの頃、パソコンやインターネットというものについての本を読み漁っている頃にどこかでこの表現に触れた記憶があります。

パーソナルコンピュータは目的ではなくツールである、ツールとは人間の脳や手や足や目の延長である。ツールとして使うことを意識すべし、自分が使っているということを忘れてはならぬ。うろ覚えなので正確な要旨ではないと思いますが、このような教訓をその書籍から受け取った記憶があります。

 

幼児用ハーネスもそれと同じだと思うのです。

指摘されている方がいらっしゃるように、人間を紐で繋ぐ道具です。使い方を誤れば、幼児を拘束し、自由を奪い、安全を脅かす使い方をすることも出来ます。

しかし、使い方次第では幼児を保護者の予測がつかない事故から守ることもできる。幼児の生存する権利を守るための使い方も出来る道具です。

 

「人間を紐で繋ぐ行為そのものが人権侵害である」とは私は思いません。そんなことを言ったら、手を握って拘束することも、紐やカゴで拘束することも、ベルトという拘束具をつけることも、檻に入れることも、すべて人権侵害に該当するのではないでしょうか。

その考え方でいくと、手を繋ぐことも、保育園のお散歩も、チャイルドシートやベビーカーも、ベビーベッドもベビーサークルも、すべて人権侵害に該当すると思います。

でもそれらは、子どもの安全を守るために保護者や管理者が責任をもって適切に使用することで人権侵害ではなく子どもの生存権を守るための道具として使われています。

私は、幼児用ハーネスはこれらの道具と同種と考えます。

 

道具としての歴史が浅く、まだ過渡期です。

これから、ツールとしての利便性や見た目の問題、適切な利用法の喚起等がメーカーさんのご尽力等で改善されていくことを望むと同時に、利用する場合にその道具の特性を考え、使い方次第では子どもを傷つけたり、紐による加害や人権侵害に及ぶ可能性があるということは考えておかなくてはならないとも思います。

 

便利なんだから何でもありだ、どんな使い方をしてもよいはずだ文句言うな、というのはおごりです。道具として使う以上、適切な使い方を心がけることは必要な配慮だと考えます。

 

子どもの特性やそのときの状況でやむをえずワンちゃんのお散歩状態での使用になることもありえると思います。どんな使い方が「適切な使い方」であるか、ということの答えをここで出せるほど、私はまだこの道具についても発達障害を含むたくさんのこどもたちの特性それぞれについての知識が乏しいため言及は避けます。

 

過渡期ゆえ、さまざま意見が出ると思います。

それをおかしな炎上と言う形で使用者を苦しめたり、逆に感情的に傷ついたと嘆いたりせず、いい形でお互いがさまざまな意見を冷静に受け止め、取り入れながら、道具としての使用法が洗練されていけばよいなと願っています。

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