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スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

「母性」「母性本能」って結局なんなんだろう。


マメ子さんの

「子育てはできて当たり前」その思い込みから母親を解放してあげて | わたし働く、子は育つ

を読みながら、モヤモヤしたものを感じていました。

「母性」「母性本能」って結局何なんだろう。あるとか無いとか、どういうことなんだろう、ということ。

 

では「母性」とは何か。辞書によるとこう書かれています。

ぼ‐せい【母性】女性のもつ母親としての性質。母親として、自分の子供を守り育てようとする本能的特質。「―本能」「―保護」⇔父性。

(参考:母性 - 国語辞書 - goo辞書

 

wikipediaの狭義の説明を引用します。生物学的にはこちらの意味が分かり易いかなと。

狭義には未熟な状態で誕生し、一定年齢に達するまで保護者の養育なしに生存できない生物親)に見られる養育行動の反応および行動原理として存在するとみなされる本能のことである。 (参考:母性本能 - Wikipedia

 

生まれる子どもを保護する、という本能。

色々な生き物に見られる子どもを守り育てるための本能的行動を指すこの言葉、具体的に言うと教えられているわけでもないのに鳥や昆虫が卵から生まれた子に餌を与えたり敵から守ったりする行動が分かり易いと思います。

 

ただこの本能、哺乳類に関していうと生まれたときからすべての個体に備わっているわけではありません。動物園や水族館で人工飼育されたパンダやイルカなどの哺乳類の動物が赤ちゃんを産んだのに育児放棄したから飼育員が頑張って…というエピソードを見聞きしたことのある方もいると思います。

哺乳類における育児行為は昆虫や鳥類とは違って、遺伝子に刷り込まれた本能的な行動ではなく「誰かの手本を見たり学習したりして体得する」傾向が強くあると考えられています。

 

人工飼育されたり群れで暮らせなかったりという事情から自分の親や周りの仲間が育児する様を見て学ぶという機会を持てなかった場合、育児放棄することがあるのはこの影響も受けてのことです。※実際にはもっと色々な要因が重なってのことなのでこんなに単純な理論では恐らく無いのですが。

 

 

私は自分には弟妹がおらず、近所や親類にも物心ついた頃以降赤ちゃんが身近で産まれて日常的に接するということがない環境で育ちました。

そのため、身近な赤ん坊とはじめて接したのは甥が生まれた20歳過ぎの頃。離れて暮らしていたので時折会う程度で、育て方そのものを見る機会はほとんどありませんでした。

 

そんな私が25歳で妊娠し、26歳で初めての子を産んだとき。

目の前の赤ん坊の育て方について知っていたのは、なんとなく見聞きしたことのあることや、妊娠中に受けた指導や本や雑誌から得た知識。その体得した知識が無ければ、泣いている赤ん坊をどうしたらいいのかも、何に気をつけたらいいのかも全く分かりませんでした。

 

私たちヒトも、哺乳類の一種です。

他の哺乳類の生き物の生態を考えると、私たちにとっても育児というのが遺伝子の中に強く組み込まれた本能ではなく、産まれた後で体得する技術であるということです。

 

「母性本能」と一般的に母親に向けて言うとき、それは「自分が産んだ子を無条件で可愛いと思う気持ち」や「その子を大事に大事に育てたいと湧き上がってくる気持ち」のような意味合いで使われていることが多いような気がします。

 

でも私はそれは、本能ではないと思うのです。

 

4人の子を育てながら、私が子どもたちにその気持ちを純粋に持続的に感じることが出来たのは、誰かの助けを十分に得られながら自分の精神状態をうまく保てていたときだけです。

ほとんどは、ボロボロの日常を過ごしながらそんなことを感じることが出来るのは子どもたちがみんな寝てしまった夜中やつかの間のお昼寝の間くらいだったと思います。

 

精神的余裕が無けりゃ感じることも出来ないことなんて、本能じゃないよね。

 

 

本能、というべきなのかは分かりませんが、あぁこれは動物的な反応なんだなと感じることはありました。

 

妊娠中におなかを不意に触られて思わず背中を向けそうになったこと、妊娠7ヶ月くらいの頃に猛烈に模様替えがしたくなったこと(後で知ったのですが、この頃は巣作りの本能が働く時期という説があるそうです)、産後しばらく、2時間おきくらいに夜中自然と目が覚めたり赤ちゃんの泣き声がしたら即目が覚めたりしていた、要は眠りがとても浅かったこと、など。

 

ただこれもあくまでも私はそうだった、というだけでヒトのメスがみんな持っている本能って言うわけではないと思う。夫の叔母は赤ん坊がギャン泣きしててもそばでぐっすり寝て同居の義母にたたき起こされていたという猛者ですが夫の家系は夫含めみんなそんな感じなので産めば夜中起きられるというもんでも多分無いです。

 

 

ここまで書いてきて、じゃあ母性本能って何よ、って自分でも良く分からなくなってきました。

子どもを養育するという「母性」がヒトにとって後天的に得る技術だとしたら、それは本能とは言えないと思うんですよ。もっと言うと性質でもない。メス限定の能力でもない。

 

たまたま今朝子どもたちが録画したのを見ていた「ダーウィンが来た」で取り上げられていたアリの生態。

羽アリの一種、交尾を終えた女王アリが巣で産卵を終え、産まれるまでの2ヶ月間、飲まず食わずでずっと世話をします。孵ろうとした最初の卵の殻を口で少しずつはがしてやる女王アリ。

これは、誰からも教わらない本能的行動だと思います。本来「母性本能」というのはこういうのを指すんだろうな、と眺めながら思いました。

 

産まれた子アリは産まれてすぐに女王アリの身体をなめ始め「働きアリとして最初の仕事をしています」とナレーション。これも、本能ゆえの行動なのだろうなと思います。

 

人間の母親は産んだからってそんなもん沸いてきません。

何も知らない状態では自然と身体も動きません。

「母性」という「本能」なんて持ち合わせてないんです。

もう人間限定で違う言葉に置き換えたいくらい。

 

 

「母性」はヒトのメスが生まれつき持っている「本能」ではない。

「母性本能」はヒトのメスに適用できる言葉ではない。

 

これが私の結論です。

 

私たちが子どもを育てていけているのは、良くも悪くも理性があるからです。

そしてその理性を保つことが出来る環境にたまたま恵まれているからです。

 

私が寝ている子に感じるいとおしさは、母親だからではありません。

夫も、日頃よく面倒を見てくれている周りの人たちも、程度の差はあれ同じように感じていると思うのです。

そして私も、甥っ子や近所の子を預かっていると同じように可愛く、いとおしい。

 

子を守りたいと思う気持ち、子をいとおしいと思う気持ちは、初めから備わっていて産んだら覚醒する本能では無いと、私は思います。

 

注)女子が「母性本能をくすぐられる」という言葉を使うとしたらその意味は「(私が生まれつき持っている)本能が反応している」ではなく「私のお世話したい欲(支配欲)を満たしてくれそうだ」という程度の意味合いです。この使い方と実際の育児をリンクさせることに私は非常に抵抗があります。

 

 

※補足です。

鳩子さんのブコメで触れられていた「母性」の語源の話、とても興味深いので私も調べてみようと思います。もしまとめられそうだったらまた書きますね。

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