昨夜、こんなツイートが流れてきました。
妖怪ウォッチが及ぼす被害が確認されました。 pic.twitter.com/q5ZtDISZHX
— 電子演算 (@DNS_ENZN) 2014, 9月 23
やっぱり出て来たねえという感じの「妖怪ウォッチによる被害」だそうです。
別に私もあのアニメの全てが正しいとか素晴らしいとか思ってるわけではないし擁護する必要も全然ないんですが、前に書いたこと
に繋がるなぁと思いながら色々考えた事をまとめてみたいと思います。
4歳の男の子、おもちゃを片付けないことや野菜を嫌うことを「妖怪のせいだよ」と言い返してくる、と。
まぁやりたくないこと嫌なことから逃げるために自分の持ってる知識を総動員してわけのわからん言い訳を連ねるのは小さい子にはよくあることなので、この程度で被害とか言われたら育ててらんねーよ、影響がいやなら見せなきゃいいじゃん、とは思いますが、それでは何も解決しないので冷静に考えてみたいと思います。
この問題の答え、男の子の言う通りなんです。
そう。「妖怪のしわざ」です。
じゃあその妖怪ってなんだろう、その答えも質問のなかに書かれています。
「ついいらっとしてしまう」お母さん、そのお母さんが「ついいらっとしてしまう」ような状態になっていること、それこそが妖怪ウォッチを通して見えるかもしれない、妖怪の姿です。
睡眠時間がたっぷり取れてて、お腹も減ってなくて、疲れてもいなくて、友人や家族と上手く意思の疎通が出来ていて、仕事も上手くいっていて、経済的にも恵まれている、等々、いわゆるHPが満タンの状態だったら、目の前の子が散らかしたオモチャを片付けたくないがために「妖怪のしわざなんだよ」って屁理屈をこねても悠然と対応できちゃうのかもしれません。
お母さん、いらっと来ちゃうのはそのHPが減っちゃってるからです。
散らかった部屋、片付けるのは大人でもメンドクサイ。
それを自分の都合に関係なくやれと言われる訳です。子どもだってメンドクサイ。
そりゃ言い訳の一つも言いたくなるし、そのときに自分の持ってる引き出しをあちこち開けてなんとかこじつけようとした、その結果たまたまちょうどいい「妖怪のしわざ」が出てきただけ。
だってまだ4歳。
なんで部屋を片付けないといけないのかも、なんで野菜を食べないといけないのかも、知識として学んだり理解して行動に移すなんて無理な年齢。
妖怪のしわざだろうとなんだろうと片付けないなら捨てるぞ、とゴミ袋に入れるもよし、じゃあどうしようかと一緒に考えるもよし、そのままにしといて無くなったり壊れたりして泣きを見るのを待つもよし、片付けに向かうまでの動機付けはその子の性格や家庭の環境によっても様々だと思うから、これが有効っていう手だてに正解はないと思うのだけど、とかく親が苛立たずに冷静で居られたらその解決方法をじっくり考えるのはそう難しくはないと思う。
お母さん、疲れてるんだよ。
どんなタスク背負ってる方なのかはわかんないけど、一人目のお子さんの対応に振り回されて疲れてないかな、と。
もっと手を抜いて、自分を甘やかして、ゆっくり休む時間を取ったら、きっとそんな4歳の言い訳もバカバカしくて可愛く思えるようになるから。
だから、手も気も抜いて、HP貯まるような方向で調整してみたらどうかな、って思います。
好き嫌いもね、一概にわがままとは言い切れないんですよ。
皮膚症状や咳が出ない、口の中がちょっとぴりぴりする程度のアレルギーがある子というのも実は居て、口に入れると嫌な感じになるからと嫌っているというケースもあり得ます。
メロンを食べすぎると口の中に違和感を感じるのもその影響です。
それ以上の症状が出ないことで軽視されたり見落とされたりしやすい症状ですが、れっきとしたアレルギー症状なので本人の意志ではどうにもなりません。
果物のアレルギーで起こりやすい症状だそうですが、うちの子たちでは貝類や卵(それも茶碗蒸しのみ、他の卵料理は出ない)で起こしたことがあり、それらも最初は好き嫌いだと思って見逃してしまっていた時期がありました。
同じように、感覚過敏で特定の食品をいやがるというケースもあり得ます。
特定の舌触りを嫌がったり逆に好んだり、自閉症などの特性が強いケースではこれしか食べないという傾向があるお子さんも居ます。発達障害児として支援が必要な程度ではなくても、傾向として食べ物に対してそういう特性を見せるケースもあり得ます。
アレルギーでも感覚過敏でも、そういう体質や特性を持って生まれて来ているものなので本人の意志でどうにかなる物ではありません。
好き嫌いだと思い込んだまま大人になるケースもあると思います。アレルギーも大人になるにつれ症状が軽減していくケースも多いですし、感覚過敏でも成長とともに変化があるケースも多い。気づかないままわがままとして処理されていつのまにかおさまっていたという可能性もあるのではないかなと思います。
その可能性を秘めている状況で、食べないことはわがままであると抑圧だけをしても本人にとっては苦痛でしかありません。
小さい子はアレルギーの知識も感覚過敏の知識もありません。ただ不快だとかしんどいとかそういう自分のなかで起こってる感覚しか無い。
もし相談者の4歳の息子さんが上記に該当するなら、それこそなんだかよくわからない妖怪のしわざでしかないわけです。
アレルギーで口の中がぴりぴりしているのかもしれないし、感覚過敏でとにかく不快なのかもしれない、残念ながらお母さんの作った料理の味が自分の好みではないのかもしれない、何かの理由でお腹が減っていないのかもしれない、なにか嫌なことがあってお母さんに当たり散らしたい気持ちだったのかもしれない。
自分のなかの感覚や気持ちをうまく言葉にできない子どもたちにとって、大人に対する一見口答えに見えるその行動は、自分の中のなにかはっきりしない、でも不快や不安やしんどさを伝えるための手段なのではないかなと私は思います。
そしてそれを、いらだちを感じずに受け止め引き出し理解してやるのは、親に余裕が無ければ無理な話です。
子どもたちが妖怪のせいにするのならば、それは妖怪のせいにしたくなる何かの要素がそこにあるということです。それに対して、時には強い言葉や口調で叱責する必要が有ることもあるかもしれないし、ゆっくり話を聞く時間を持つ必要があることもあるかもしれない。
「妖怪のしわざなら君は関係ないね、うんそれでいいよ」と甘やかし免責されるものではけしてない、ということは念頭に置いて、じゃあどうしようかと考えるきっかけを子どもたちからもらったと、そう受け止めてはどうかなと思います。
そして繰り返しますが、それをするためには養育に携わる人間の余裕がなにより必要です。
時間におわれ、精神的にも肉体的にも限界の状況では無理です。
もし「妖怪のせいだよ」という反論にいらっときたら、それは黄色信号が点滅してるサインです。
子どもの話を聴けるように、自分のHPをためるために必要な処置を講じて下さい。
子どもを預けてひとりの時間を持ってリフレッシュするもよし、友達を誘ってしゃべって発散するもよし、ハーゲンダッツを夜中に食べるもよし、昨夜の私のようにコンビニに駆け込んでイチゴショート2個一気食いして満足するもよし、なのです。
そうして自分の中の妖怪が離れていってくれたら、子どもたちとゆっくり向き合えるのかもしれません。