随分前から連載されていた漫画なので今更な感は否めないのですが、逢坂みえこさんの漫画「プロチチ」を読みました。
出遅れた理由はと言えばここ数年、本屋にゆっくり行けていないこと、欲しい本だけネットで検索して買うという生活が続いていて色々探して読むということが少なくなっていたこと。
でもそれにフラストレーションを感じていたので、ここ2ヶ月程自分に対して、買いたい本を注文するときに何か1冊話題作や興味を引かれた漫画や新書をついでに買う、というタスクを課していました。プロチチは、Amazonで他の本を検索しているときにオススメ枠に出て来たのがきっかけです。今思い返せば発達障害関連の本を色々と見ているときだったのかなぁと思います。
逢坂みえこさんといえば「永遠の野原」を今は亡き少女漫画月刊誌「ぶ〜け」本誌で読んでいた、懐かしい作家さんです。10代の入り口からずっと、たくさんの影響を受けた作品でもありました。設定はそういえば今放映されているドラマ「ごめんね青春」にちょっと似てる、青春時代どストライクな感じなのですが、今でもときどき、主人公二太郎の切ない恋の話やお姉さんのちょっとした呟きを思い出したりする、そんな印象深い作品。
その作者である逢坂さんの育児漫画、面白くないはずはないと即断で購入。
全4巻なのですが、最初の1冊を購入後、即残り3冊を注文しました。
いや正確にはすぐ読みたくて近所の小さな本屋に行ってみたけど置いてなかったのでその場でスマホからぽちりました。
でね。
書評的なものをブログで書こうと思ったのです。
たくさんの人に読んで欲しい!と思ったから。
読了から数日、どんな風に書いたらどんな人に伝えられるだろう、って悶々と考えました。
頭の中でいつもエントリを書くときのようにプロットを色々と構築するんですが、考えては崩し、考えては崩しの繰り返し。
印象的なセリフを取り上げてそれについて何か感じたことを書こうかとも思うのだけど、いやあのそれぞれのセリフはあの場面で初めて読んでこそ意味が有るのだからといちいち止まってしまう。
考えても考えても、上手くまとまらない。
自分の能力の限界を感じつつ、でもやっぱり何かの形でお勧めだということをどこかで発信しておきたい。
なので、このエントリを書評では無く
「とりあえず『プロチチ』読んでみて欲しいの」
ということを全力で伝えるためだけに書いてます。
私は自分自身、アスペルガーや注意欠陥の傾向が多分有るんだろうなという実感があります。
日常生活でそこまで大きな困難を来すほどではないので自分なりの工夫をしながら生活していますが、ときに相手の感情が解らなくて困ったりして夫に相談したり、どうしても苦手な事は周りに助けを求めたりもしています。
その、当事者としての共感はもちろんあったのですが、発達障害という枠だけに留まらない、育児や夫婦や仕事や親子の関係など色々な、共感や気づきが詰まっていました。
私が是非一読をとお勧めしたいのはこんな方です。
小さい子を育ててるお父さんお母さん(特にお父さん!)
専業主婦(夫)さんとその配偶者さん
共働き夫婦
これから子どもを持つ予定の方
職場や学校で特定の人に対して「指示が上手く通らない」「使えない」とか「一緒に働きづらい」「他の人となんか違う」と感じたことのある方
発達障害に感心のある方
そして、アスペルガー当事者の方(含 自分に心当たりのある方)
私は気に入った本があると深夜にお風呂やトイレに籠って繰り返し読む癖があるのですが、そのとき放置してたのを夫も続けて読んだらしく、最近私や子どもたちへの言動が柔らかくなったような印象を受けて驚いています。
「プロチチ」読んだの?と聞いたら「まぁね」と笑ってました。
「育児漫画」と思って読み始めたのだけど、読んでみたら全然、ただの育児漫画、じゃなかったです。
乳幼児育児の楽しさ大変さ、
育児の日常のあるある、
保育園やママ友のこと、
専業主夫という立場から見えるもの、
共働き夫婦の夫と妻の抱えるお互いへの不満や本音、
発達障害当事者の抱えてきた過去、
当事者と親との関係、
発達障害の子を育てる親という立場、
当事者が暮らしやすい働きやすい環境のこと、
当事者と暮らしやすく働きやすくなるためのヒント……
書き出し始めたらどんどん出てくる、色々な立場の色々な視点の人にとって共感や発見をもたらす内容が4冊の単行本のなかにぎゅうぎゅうに詰まってました。
欲を言うならもっと引き延ばしてかいてくれても良かったのに!と思う程。
連載されていたイブニング本誌での終了ののち、今年の6月からFQ JAPANというパパ雑誌で「学童編」の連載が始まっているみたいです。
4冊を大事に読み返しながら、学童編の単行本化を首を長くして待つ日々に入ります。
おまけ)
また読みたくなったからこっちも買ってしまいそう。