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スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

「早く!」「ダメ!」を回避するための交渉術


発端はこのツイートです。

(ツイートの引用、快諾ありがとうございます)

 

これについて、真剣に考察します。

 

蝉の死骸を前に「二時間待って」と言われたとき

登園前という状況から、恐らくは就業やその他の事情により親御さんが焦っている状態、として考えます。また、お子さんの年齢がツイートからは分かりませんがアカウントや園児である等から5歳程度と仮定します。


また、一応本当にそれを求めているときである、という前提で書いています。

これまで何度も書いてきましたがらこどもたちがなにかを要求したり気を引こうとしたりするときは必ずしも本当にそれを求めているわけではなく「実は園に行きたくないだけだ」とか「本当は聞いてほしいことがある」とか「眠い」とかさまざまなお腹のなかの本当の理由があることもとても多くあります。


話始めでそれがわからないことも多いかもしれないし、これから紹介する流れでそれがわかることもあるかもしれませんがそこは臨機応変で。

 

本当に2時間待てないのか

まず、子の言葉を真摯に受け止めた上で本当に2時間待てるのか待てないのか、を考えます。待てる状況であれば、子の要求に従い待つ、というのも一つの回避法だからです。

 

しかし「待てない」ケースがほとんどでしょう。だから「早く」「ダメ」の台詞が出そうになるわけで。なのでそれについてさらに考えます。

 

なぜ「待てない」のか

2時間待つことがなぜ出来ないのでしょうか。それはそれぞれの事情があるでしょう。そこについて考えたい。会社の始業時間が迫っているからか、それに間に合うために乗る電車の発車時刻が近づいているからか、家に帰ってせねばならぬ家事や用事が決まっているからか、蝉が死ぬような夏の日の炎天下で2時間もそこに居続けることは生命の危険があるからか、暑くて嫌だからか、色々あるでしょう。

 

そしてそれは「誰の」事情ですか。

 

恐らくは大半が、自分の都合だと思います。会社に遅れる事が出来ない、保育園に言ってもらわないと困る、それは親の、自分の都合ですから、それを丁寧に説明する事無く子どもにだけ変化を求めるのは大人としていかがなものか。自分が周りのあらゆる物がテトリスに見えるほどテトリスに熱中しているときに親から無理矢理風呂に今すぐ入れと言われたらそれを素直に受け入れることが出来るだろうか。

 

また暑さが危険等だったとしても大人ほどの見通しが立っていない子どもたちに容易にそれが理解できるか、出来ない場合はそれを噛み砕いて説明する必要があるかもしれないし、そもそもその場が危険なら理由も無くまず連れ去る方が先かもしれない。

 

大人の事情であるなら

待てないことが親である自分の事情によるものであるなら、まず大人の都合で君の希望を満たしてあげられない状況である、ということを説明し謝罪する必要があるのではなかろうか。

本来大人の側に余裕があれば子の求める2時間の観察を尊重することが出来るわけで、それを不可能にしてしまっていることを謝ること、そして自分の事情に合わせて欲しいというお願い、協力の依頼をする必要があるのではなかろうか。

 

と小難しく書いてはみたのだけど相手は5歳児、そんな順をおった交渉が通じない可能性が高い。

 

というわけで5歳児に合わせた交渉法を考えます。

 

5歳児を蝉から園に向ける為の交渉術

①まず、受け入れ、肯定

恐らく5歳くらいの子にとっての「にじかんまって」って大人が思っている「二時間待って」とは内容が違うと思うわけです。「これめっちゃ見たいからここにいたい」っていうような要求をどう言葉で伝えればいいかと彼らの中で考えて出た結果であって、本当に120分という時間を要求しているわけでは多分無い。

 

なのでまず、前段に書いたような言葉では出て来てない彼らの本当に伝えたいことはなにか、を察する。たぶん、見ていたい、というその要求がそこにあることを言語化する。「そうか、これ見たいんだね」「せみをずっと見ていたいの?」などの同意、共感、同調、からまず入ってみる。「待って」に対して「待って欲しいの」というおうむ返しからスタートしても良いと思います。

(参考:言葉のおうむ返しを通して同意を伝えること 〜基本的自尊感情の話のつづき - スズコ、考える。

 

否定の姿勢から入られると子どもたちはそこで聞く耳を持ってくれなくなることも多いです。まず、君のその気持ちは分かった、という共感の意志は見せたいところ。

 

②事情の説明やこちらの要望を伝える

なぜ保育園に急がねばならないのか、それをその子に合わせた表現で伝えると子どもにも大人側になにかしらの事情があることが伝わるのではないかと思います。

そのときに子どもだから従ってしかるべしという横柄な態度だと子どもたちはその要求を受け入れまいとかたくなになってしまうかもしれない。あくまでも真摯に、かつお願いするのはこちら側なので丁寧に。

 

③代替案の提示

目の前の興味あるものに心を奪われている状態で、それを全部なしにしてその場から去る、かつ機嫌も壊すな、切り替えろ、というのは大人でも難しいもの。大人ならそこでその先が見通せて自分なりに納得できる事でも、衝動性が大人より強い子どもにとってはそれは自分に無い能力を無理に求められている状態ではないかなと思います。

足の悪い人に早く走れというのと同じこと、無理です。

 

なので納得のいきそうな代替案を提示してはどうでしょうか。

  • 2時間は待てないけどここまで(時計など理解し易いものを見せて)なら待っても良い、という時間の短縮
  • 今度のお休みに蝉を一緒に捕りに行こう
  • 持って帰っておくから帰ってから観察しよう
  • 保育園の帰り道にまだここにあったらそのときにまた観察しよう

など、子どもが「それなら」と思う可能性がある代替案を提示して、気持ちを切り替えるフォローをする。

ここでおやつやおもちゃを買うなどの物で釣る交渉が出易いかもしれません。私はそれを必ずしもダメだとは思わないけど「ごねたら買ってもらえる」という誤学習に繋がる可能性は高いので避けた方が無難かなとは思います。

 

④「ありがとう」を忘れずに

交渉の結果子どもがそれを受け入れてくれたら、当然と思わずに協力に対する感謝を忘れずに。彼らは親が仕事にいく、用事がある、早く帰りたい、など保護者の都合を優先するために自分の目の前の楽しみをその場で我慢し、協力に同意してくれたわけです。その姿勢を労わねばなりません。

 

③から④へいきなり飛んだように感じる方もいらっしゃるかもしれません。はい、ここは一番の山場でありここを乗り越えないと④にはいけませんしそう簡単ではありません。

でもこの部分は、すんなり受け入れられるか手強いかはお子さんの個性や特性、親の力量によって大きく差が出るところでもあり、一般化は難しいのであえて掘り下げていません。子どもと会話を進めるコツについてはこちらの書籍をお勧めします。

このブログでも何度も紹介していますが、子どもと話すコツが安易な表現で丁寧にかつイラストもふくめ分かり易く紹介されている名著です。 

子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全

子どもが聴いてくれる話し方と子どもが話してくれる聴き方 大全

 

 (参考:話し方聴き方実践をやってみた。 - スズコ、考える。

 

金魚のお墓を掘り起こして家の中に死骸を持ち込もうとした時の対処法

さてこちらですが、対応策としてはこれまで書いてきたこととほぼ同じではないかと思います。

①まず、受け入れ、肯定

「金魚のお墓を掘ってみたいんだね」「死んだのがどうなってるか気になるんだね」等の同意、感情の肯定がまず一番。ここで「そんなこと!」といきなり憤る姿勢を見せても子どもには理解できないんじゃないかと思いますし、トラウマを残しかねない。

死体や死骸、お墓、等大人の感覚ではタブーとされているようなことでも、子どもにはその前提となる知識や感情は無いわけでそこに理由も丁寧に説明されず否定だけを持ち込まれても混乱してしまうかもしれない。

「やってみたい」という感情が子どもに湧いているのは事実であれば、それはまず受け入れることから始めたいところです。

 

②事情の説明やこちらの要望を伝える

なぜお墓を掘り起こしてはならないのか、ダメなのか。その理由を丁寧に伝える。そのためには前段階として「本当にダメなのか」「なぜダメなのか」を大人が考えておく必要があるのではないかなと思います。お墓を掘り起こすという行為がなぜいけないのか。宗教が絡む流れになるご家庭もあるかもしれないし、死骸を見たくないという理由かもしれない、ダメな物はダメ、ではなくてその理由を全ては説明できなくても大人として理解しておく必要があるのではないかなと。

 

③代替案の提示

これに対する代替案は例示がとても難しいのだけど、次に金魚が死んだときに埋める前に観察しようとか、土の中の遺骸が微生物などによりどう変化していくかを図示や絵本などを使って伝えるというのもありではないかなと思います。

ちいさなちいさな―めにみえないびせいぶつのせかい

ちいさなちいさな―めにみえないびせいぶつのせかい

 

5歳児にはまだ難しいかもしれませんが、微生物のはたらきについて書かれた本です。

本物は見せてあげられないけどこういうので一緒に勉強しよう、という提案もありかもしれません。

 

④「ありがとう」を忘れずに

保育園ほど大人の都合が大きい訳ではないかもしれないけど、やっぱり事情を汲んでくれたらありがとうを伝えたいところです。

 

 

おわりに

元のツイートが、子育てのあるあるネタ、そうそう大変だよね、っていう話なのは承知の上ですがついつい考えながらツイートしていた内容をまとめてみました。

ここに書いてあるのはあくまでも私感であり、最適解とは限りません。その子その親その環境それぞれに答えがきっとあるんだろうと思うし、答えが出ないままに流れて行く方が多いのかもしれないし、そんなに手こずることなく過ぎていくことのほうが多いかもしれない。

 

お子さんによっては大人が「ダメ」と言えばすんなり飲んでくれる子もいるかもしれないし、「ダメ」を聞くと癇癪が増大してしまう子もいるかもしれない。

 

それになにより、いつもこんなに丁寧にひとりずつに対応するなんて私も全然出来てない。同意もなにもなしに下の子追いかけながら「今は無理〜!」って叫ぶ日の方が多い。

でもどんな関係の中でもどんな日常の中でも、大人の都合に付き合ってくれてありがとう、という気持ちはいつも持っていたいな、大事にしていたいな、と思っています。

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