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スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

夫が思っているほど妻は「指示を出すスキル」は高くないかもしれない


先日、「産後すぐの夫は新人バイトと思って指示を出すといい」というツイートとそれにまつわるあれこれについて書きました。

ここで私は、理想にとらわれて足下をすくわれては元も子もないから自分の現状を変えるためには現実的な解決法をとる方が良いと思う、そしてその方法の一つが夫を新人バイトと想定して具体的な指示を与えて動いてもらうことなのではないか、と記しました。

 

「指示を出せない」「難しい」

Twitterで呟いていたことや上記エントリへの反応として少なからずあったご意見が女性側からの「そんなこと言われても具体的な指示なんて出せない」「指示を出すために考える時間も余裕も無い」「指示を出すのは難しい」という声でした。

 

たしかに、産後のあたふたした時期を思い起こせばそんな指示出すくらいなら自分で動いた方が早いし!ってなってた気もします。でも洗濯物を取り込んで欲しいと思ってたらそう口に出せばいいことなのにそんなに難しいことなんだろか?とも同時に思ったのは事実です。

そしてそれ、多くのお父さんという立場の方が妻に対して抱いているのかもしれない、と思ったんですね。そんなに難しいことなの?それくらい出来るんじゃないの?という、自分を基準にした想定。でもそれが、「そんなの無理」「考える時間が無いと出来ない」と現実の女性の声として上がってくる、これはなんなんだろうと。

 

指示を出せない、で終わっては家庭内に平穏は来ない。そこを紐解かないと前に進めないんじゃないか、と。

 

女性だけの組織にありがちなこと

子どもたちの関係や地域の関わりの中で色々な団体の役員を担ったりイベントのお手伝いをしたりすることがよくあるのですが、女性だけで組織される団体に参加したときに共通して感じることがあります。

それが、非効率、段取りの悪さ、指揮系統が不明瞭で統制がとれていない、ということ。

話し合いがなかなか進まなかったり、イベントまでの下準備で具体的な計画が整っていなかったり、責任者やそれぞれの担当者の役割が明確になっておらず当日それぞれが何となく探り合いながら作業に当たるためイベント全体がグダグダな感じになって時間が押したり間延びしたり突然予定が変わってしまって現場が混乱したり。

 

なんでもっと効率的に話し合わないんだろう

なんでもっと丁寧に計画を立てておかないんだろう

なんで当日までにそれぞれの仕事内容を明確にして指揮系統をハッキリさせておかないんだろう

なんで責任者がしっかり指揮をとり各担当者に指示をださないんだろう

 

そうすればもっとうまくいくのに、と良く思ってました。

 

Twitterでこれについて愚痴ったこともあったんですが、そのときに色々な方と話しながら、これはこれで女性社会のなかで培われてきた、致し方ない傾向なんじゃないか、と思うに至ったんですね。

 

だれかを悪者にしないシステム

誰も責任を取ろうとしないように私から見えていたその仕組みは、逆に言うと誰かを悪者にしないシステムでもあるのかもしれない、とも考えられます。みんなでなんとなく負担を分け合う。その場の雰囲気が悪くなったり、誰かが気分を害したり、負担が誰かに集中して不満が出たり、逆に権力が誰かに集中して和を乱すことになったりすることを無意識に避けた結果なのかもしれない。事実私も、自分が責任者でない限りは声を上げることでやり玉に上げられたくない一心で端の方で小さく迎合しているわけで、そうやってみんなで何となく迎合して波風立てないように、という空気があるような気がします。

そうやって経験的に、誰かが責任を負う組織を築くことを避けて、その場で縦の序列が明確にできないように、みんな同じ立場で何かを成すというのが習慣として成り立って来てるのかなと。

 

会社組織の中での経験

女性だけの組織では往々にして会議の時間はダラダラと長引く傾向にありましたが、これまでに色々と経験して来た役員職の中で唯一、全員が女性でも会議がさくさくと進んだ場がありました。学童保育の保護者役員さんの集まりです。

年度により差がありましたが、社会人としての経験が長い方や指導的立場にある方が多い集まりでは会議の時間をなるべく長引かせないようにしようという意識が全員にあったり、それぞれの役割が自分の仕事を把握して責任ある立場だと意識しながらチームワークよく運営することが出来るケースが多くあり、男性が含まれた組織で何かを運営するときと同じスムーズさを感じたんですね。

 

女だから、ではなくて。

これまでに私が書いて来たこと、最初の方では「女だから出来ない」と受け取られかねない表現もあったかもしれません。

が恐らくは生物学的な性別による傾向ではなく、社会的な性的役割分担の結果による傾向の方が強いのではないか、と考えています。男性と女性が社会的に切り分けられて来たことにより、女性が組織の中で指揮を執る立場になりづらかったこと、性的役割分担により女性の輪の中で穏便にものごとを成すことが多かったこと、その結果、序列や効率よりも和を重視する傾向が強まり「作業内容を具体的に把握して指揮系統をはっきりさせ指示を出す」経験が乏しく、結果的に苦手な方が多くなっているのではないか、と思うのです。

 

お父さんたちの日常と、お母さんたちのハードル

お父さんたちが日常的に会社や男性を中心とした集団のなかでやっている指揮系統をはっきりさせた集団作り、上司から指示をもらい自分の仕事をする、組織の仕事内容を把握した上で部下に指示を出す、という行為。

その経験の延長に出てくる発想が「具体的な指示を出してくれたら動けるんだけど」なのかもしれない。家庭という、妻を中心とした組織になってしまっているように見える場所ではその指示があると動き易い、というのが多くの男性の感じることなのかもしれない。

 

でもそれを求めている妻は、色々な要因から男性が思っているよりはるかにその「仕事内容を把握して系統立てて指示を具体的に出す」「新人バイトを動かす指示を適切に出す」ことに対するハードルが高いのかもしれない。

 

おわりに

「新人バイトと思って指示を出す」ということ。新人を育てた経験のある人にとっては男女問わずそう難しくないことなのではないかな、と思います。私もそう感じていました。

 

でもそれ、目の前の妻にとっては夫が思うほど簡単ではないかもしれない。頑張ればできるかもしれないけど、産後のヨレヨレの時期にそのハードルの高いことに取り組むだけの余裕が無いかもしれない。

妻が苦手だと思っていること、取り組むには得意な人よりはるかに時間や労力を伴うということが目の前の夫には理解しきれていないかもしれない。

 

その温度差が、「それくらいできるだろう」「そんなこと言われても出来ない」の応酬を呼び、亀裂をどんどん深めていってしまうことになるかもしれない。

 

結局言えることはやっぱり「私はあなたではないし、あなたは私ではない」ということ。自分にとって楽にできることやそう難しくないことはつい、周りの人も当たり前にできるような気持ちになりがち。

でもそう思って接していてもうまく回っていかないなら努力不足だとか相手が悪いとかの前にまず「このスキルを相手に求めても大丈夫なのかな、ハードルが自分より高いんじゃないかな?」と立ち止まって考えてみる必要があるのではないか。

そして産後に限って言えば、睡眠不足と慣れない新生児の世話でいっぱいいっぱいの妻にそれを考えろ、把握しろ、整理しろ、と求めるのは難しいかもしれない。余力がある方が思いを馳せることで長期的な家庭内の平和が保たれるのかもしれない、と思うのです。

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