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スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

「電車で化粧はみっともない」マナー広告炎上から考える、伝える技術

そのときどき


なんか昨日からTLが騒がしかったので久しぶりの時事ネタです。

 

発端は多分これ。

上京したての若い女性の日記風に描かれた東急電鉄のマナー広告のなかの1つの、車内で化粧をする女性を「みっともない」と表現したポスターや動画に批判が集まっていたもの。

 

さまざまな視点からの批判や擁護

女性性への抑圧だというジェンダー目線からの意見も私のTLには多く並んでいましたし、化粧より足を広げた男性の方が迷惑だとか、他にもみっともない人は多いとか、そういう人を自分の価値観で断罪して罵声を浴びせたりする行為の方がよりみっともないとか、批判の矛先もいろいろ。

 

前から不快に思っていた、という声も上記のねとらぼの記事のなかにも見られます。

 

「粉が飛ぶとか実害がある」「本来人に見せる行為ではないものを見せられる不快感や恥ずかしさ」など不快感について掘り下げた意見も多く見られました。

 

いろんな意見をうんうんと拝見しながら、見えて来たものを整理します。

 

そもそもなんのための広告なのか

一番大事なのは、たぶんここなんですね。

「マナー広告」で検索すると、東急電鉄だけではなく阪急や小田急などいろいろな鉄道会社が取り組んでいる活動だということがわかります。

日常的に電車に乗っていれば車内や駅で目にすることも多いと思います。

 

この「マナー広告」というものは何の為に存在しているのか。

 

これを考えるときに大事なのが、公共の場に対するとらえかた、意識の持ち方です。

 

「公共の場」とはなにか

公共の場というと電車もそうですし、公園や競技場などもそうだと思います。

不特定多数の人が様々な目的で利用する、特定の誰か占有ではないスペース。

それをそれぞれがなるべく快適に、なるべく損失をそれぞれに与えず、それぞれが使用目的を果たせるように相互に意識し合う、そのために「マナー=行儀作法」が存在している、と私は考えています。(そのマナーがなんらかの事情により行き届かせられないことを障害と呼ぶことができるのかもしれませんし、それゆえハンディのある方には配慮が必要である、とも思いますがそれはまた別の話)

 

公共の場をよりよくするための、マナー広告

マナー広告とはその公共の場(今回は電車の車内)を、乗客それぞれが意識し合ってよりよい環境にしていきましょう、その環境づくりにご協力ください、という目的のために作成されるものなのではないか、と思われます。

 

今回の東急電鉄の広告も、ねとらぼさんの取材によれば

取り上げているマナー違反の例は、日本民営鉄道協会が実施したアンケートなどを参考に

とあり、今回のシリーズとして取り上げられている「歩きスマホ」「無理な乗車」「背後のリュックサックによる圧迫」も含めた、不快に感じる人が多くいる乗客の行為のなかの1つとして「車内での化粧」があった、という制作時の意図があるようです。

 

なぜ炎上したのか

これまでにも車内での化粧について描いたマナー広告は存在しているし、ブラックマヨネーズEテレで歌い踊る「電車で化粧はやめなはれ」が流れていたりと、別に今更電車で化粧をすることへの批判が目新しいことでもないとは思います。

 

それでいてなぜこの広告が批判の的になったのか。

 

理由のひとつが、「みっともない」という表現をつかったこと。

「見たくもない」を語源としているらしいこの言葉はもともと自分が見たくないという主観的な言葉だったはずが、今では「周りの人が見たくないと思っているような行為を咎める言葉」としての意味を持っているように思います。

その、なんとなく自分の責任は逃れながらも存在しているかも分からない不特定多数の声を代弁したような印象のあるちょっとズルい言葉を使ってしまったことが批判の感情を逆撫でしてしまったのではないか、と。

 

言葉の選び方や、主人公の女性という1人の目線から断罪する形で描かれてしまっていること(これについてはシリーズの先で色々と流れがあるっぽいことがサイトでは触れられていますが、どうだろう)、それが、結果として鉄道会社が意図していなかった「鉄道会社が『女性が車内で化粧するのはみっともない』と断定している」という意志を表明したように一部に受け取られてしまう結果となった。

 

広告の作りとしてもうちょっとうまくやってたらなぁ、デザイナーの腕にかかってる部分も大きいよなぁと思ってしまいました。

 

うまい例もあったらしい

そんなことをTwitterで呟いていたら、フォロワーさんから以前の東京メトロのポスターの「家でやろう。」シリーズはよかったよ、と教えて頂きました。

 

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2008年と結構前の物でしたが、この中にも車内での化粧についての注意喚起がありますが、他の広告とセットでうまく中和されている感じがします。

東京メトロは毎年シリーズでマナーポスターを作成しているようで、サイトで近年のものが見られます。(マナーポスター | 公益財団法人メトロ文化財団

私も見覚えがありますが、若者が割り込もうとするポスターなど批判が出たものも過去にはあるようですね。

 

おわりに

「うな子」のCMもそうだったけど、あのときは「自然の美しさ」、今回はアンケート結果に基づいた注意喚起、というクライアントが本当に伝えたいことというのがあるのはある。それなのに、それが広告という作品として仕上がったときに伝えたいところにうまく伝わる結果になってない、って、デザイナーの端くれとして生活している身としても色々と考えさせられます。

 

このブログでもこれまで色んな形で「伝えることの難しさ」について考えてきているけれど、伝えたいと思うことを自分の望む形で伝えるっていろんな工夫や技術が必要なんだよなぁ、と改めて思います。

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