登校の数分前に…
それは昨日の朝、登校のため家を出る時間の数分前、玄関周辺では我が家の3人の小学生が所狭しと登校の準備をしているときのことでした。
「おかあちゃん…!コンパス!コンパスがいるんだ!!」
と叫んだのは忘れ物大王の次男。
私「いついるの?」
次男「今日」
私「明日じゃだめなの」
次男「今日、絶対なの」
私「連絡帳に書いてなかったの?」
次男「書いた。で、先生が赤い字で【絶対】って書いてくれた。」
私「その連絡帳は昨日の準備のときに開いた?」
次男「開いてない」
私「で、前に買ってあげたコンパスは?」
次男「……………………無くした」
怒る私とパニクる次男
文字で書くと淡々と冷静に話してるように見えるかもしれませんが、ここまででだいぶムキーーーーー!ってなっている私の様子を察した次男が
「もうだめだ〜〜うわ〜〜〜〜〜〜ん」とパニックに陥る寸前…
叱ってもどうにもならないのは分かってる。
じゃあ、どうしよう。
がんばっても無理だから。
とりあえず上の子たちには次男を置いていっていいよと先に家を出てもらって、そこから次男とお話をしました。
「もう忘れ物しないようにするから!がんばるから!」と言う次男にバッサリ「そんなこと無理だろうよ」と現実を突きつける私。
酷かもしれませんが、それが注意欠陥(欠損)という特性を持つ人間の限界だと思うのです。私もそうであるように、彼もきっと、大人になっても「がんばって忘れ物をしないようにする」人にはなれません。
がんばらなくても忘れ物をしない人も、がんばれば忘れ物をしない人も、いるよね?
でも君やお母ちゃんは、そうじゃない。
一生懸命がんばっても、どうしても忘れ物はする。失敗する。
だから大事なのは、忘れ物をしないことをがんばるんじゃないんだよ。
君ががんばらないといけないのは、失敗したときにどうするかだよ。
次男の考えた、取り戻し方
そう話すと、次男は少し考えてこう言いました。
「お母ちゃん、今日の3時間目までにお店で買って届けてもらえる?」
それは、確かに現段階での最善策だと私も思いました。
それを私が提案せずに自分で考えた、合格だと思いました。
今日の私のスケジュールからもそれが可能だったので、よしわかった、今日だけだよ、と念を押して次男を送り出しました。
取り戻せるのだ、という経験
次男に話したように、特性ゆえの困難はがむしゃらな努力ではそう簡単には解消されません。
私も小さい頃から何度も何度も、物を無くし、壊し、叱られ続けてきました。
でも大人になって、失敗しても取り戻せることを知りました。
たいていのことはリカバリー方法を知っていればどうにでもなる。
失敗を減らすことはもちろん大事だけれど、それ以上に私たちにとって大事なのはどうやって取り戻すか、それを次男にも知っていて欲しいと思っています。
おわりに
今回は忘れていた上に無くしていたので買い直すしかありませんでした。
帰って来て私に「今日はありがとう」と言う次男。
朝のことについて話し、こういう取り戻し方もあるけれどお金がかかるのだということも、それが積み重なっていけば君が欲しがっているゲームや本を買える金額になるのだ、それをリカバリーのために使ってしまっているのだ、ということも説明しました。
また、急場で買いに行くことで周囲を巻き込むことも理解して欲しいということも。
慌てなくていいように前日に準備をする、そのときに連絡帳を開いて確認する、そのためにはまず連絡帳を確実に書いてくる、いくつものステップがあり、めんどくさがり屋の次男にはとてもハードルの高いこと。
全部を完璧にこなすのは無理だけれど、私が日頃家の中でやっているひとつひとつの工夫のように、次男にもきっと彼に合った方法がある。
それを自分で見つけられるようになるまでは一緒に考えたり相談したりすればいいのかな、と思ったりしています。
失敗したときはしたときでこうやって自分で取り戻す方法を考えたり、人に頼んだりできる、振り回した分のお礼も言える、それはそれで、大事なことだと思うのです。
おまけ
玄関で家を出る前に「コンパスがいるんだ!」って思い出したことだって、本当は褒めてあげたい要素だったりするんだよなぁと書きながら思いました。
思い出せた、えらい!って、その場で言えるような余裕が自分にも必要だなぁ。
次男が無くしたのはこの、ちょっといいお値段のくるんパス。
使いやすかろうと思って買ってたのに〜〜〜〜
どこかから出てこないかなぁ…