今回はこちらのご質問へのお返事をまとめますね。
大変お待たせをしてしまっていてごめんなさい。
— イシゲスズコ (@suminotiger) 2018年5月14日
これからこのご質問に対する回答をブログにまとめますのでしばしお待ち下さいませ。 #peing #質問箱 https://t.co/DeTbQxF0R9 pic.twitter.com/9z0LhHQAwz
初動としての正解と、結論
バス通園から送迎に変えたことで問題が解決している、ということはお子さんにとって登園渋りの原因になっていたのは園内ではなくバスの車内が嫌だったから、ということなのかな、と文章からは読み取れます。
と、いうことから考えると、今回の夫さんの判断である「バスをやめる」は正解ですよね。
お子さんにとってのネックになっていた部分(今回は「バスに乗ること」)をやめて、本来の目的(今回は「登園するということ」)を可能にした、英断だと思います。
さて今回のお悩みの中身はそこではなく、親サイドでそれをやってしまってよかったのか、ですね。
結論から言いますと、今回のケースに限らずなのですが私は<言ったほうがよかったかな>と思います。
なぜ「言ったほうがよかった」のか
なぜか、の部分を今回のケースの内容に沿って細かくお話ししましょうね。
登園渋りの理由
まず大事なのは「なぜお子さんが登園を渋るようになったか」の部分です。
文中では泣くのをからかわれることが書かれていますね。
もともとお家の方と離れることなどの不安があって泣いてしまうのをからかわれて余計辛くなってしまったのかなと読めました。
登園渋りという問題が起こる背景にあるのは、お子さん自身の中の問題もあり、また、からかうお子さんたちの問題、そしてそれを制することをしない園関係者の問題もあります。(もしかしたら他にも複合的な問題が潜んでいる可能性もありますがそこは想定のしようがないのでスルーしますね)
この「誰がどんなふうに関わって問題が起こっているのか」が大事なんです。
問題に誰が関わっているか
子供に関するトラブルが起こった時、一方にだけ改善の必要がある問題があるケースはほとんどありません。100%無いと言い切ってしまいたいくらい、かなり高い確率で双方に、またその場にいる関係者全員に、改善のために何かしらできることがあります。
ここで勘違いしてはいけないのですが、親がやるべきは「誰が悪いか」という犯人探しではありません。
「誰がどうしたら起こっている問題の再発を防げるか、改善できるか」という、改善点探しです。
今回のケースでも、悪者探しをしても何のメリットもありません。
からかうお子さんそのものが悪いわけでも無いし、バス担当の先生がどんな指示を受けているかもわからないのでその場の対応が正解だったかもわかりません。
ただ「バスを嫌がって登園を渋る」という問題が起こっている以上、そこに関わる当事者全体にそれぞれ何かしらの「改善したほうが良い点があったのではないか」と私は考えます。
子供に直接改善を促せるか、というとそれは難しいですね。よそのお子さんですから当たり前です。
でも、幼児教育のプロとして子供と接している人にとって携わる業務の中で起こった問題については知っていていただかないといけないし、改善できるところがあるならそうして欲しいところです。
その、改善できる点があるかどうか、について向こうが考えるためには、こちらが問題に気づいていること、その内容を丁寧に知らせなくてはなりません。
対立ではなく、連携を
今回のように親の側で手段を講じることで解決のような状態に持っていくことができることは低年齢であるほど多いです。
でも逆に、年齢が上がっていけばいくほど親の側だけではどうにもならないことの方が増えていく傾向があるように思います。
今回はとりあえず小手先の対応で解決を見ていますが、今後もこのやり方でやっていけるか、というとちょっと無理があるかもしれないなぁとも思います。
というのも、今回のようにこちら側だけで対応してしまうということは裏を返せば「園に対応してもらえないと諦めている」状態とも言えます。
バスの中で先生がからかいに対処してくれなかったことで夫さんや質問主さんの中で、園に対する信頼が失われてしまっているのかな?と思いました。
通い始めでそんな場面を目にしてしまったら、それは仕方のないことかもしれません。
ただ、仰るようにこれからも登園は続き、また下のお子さんの入園も控えていらっしゃる。このままこの園に通い続ける中で、不信感が残ってしまったままなのはあまり良くないのではないかな、と思いますし、親が預ける相手を信頼していないことは子供にも伝わってしまったりもします。
何かトラブルが起こった時、幼稚園の先生や学校の先生方と親は対立関係になってしまいやすい存在だったりするんですね。でも私は、子供を真ん中にしてそれぞれに連携する、協力者のような存在だと考えるようにしています。
今回のケースも、バスの担当の先生の資質の問題もあったかもしれないし、何かしら別の理由があったのかもしれない。それはわかりませんが、少なくとも質問主さんと夫さんが先生の対応に不信感を抱いたのは確かだと思うんですね。
そこは、こちら側だけで対応してしまうのではなく、気になるところはちゃんと伝えた上で信頼関係を築いていきたいという意志を示し、園には園なりの対応策を考えていただく必要があるのかなと思いますし、そういうやりとりを繰り返していくことで信頼関係ができていくのではないかな、と思います。
交渉の仕方をちょっとご紹介
登園を渋っているお子さんのことで困っている段階で、どう交渉したらよかったのか、と思われるかもしれませんのでちょっとノウハウをご紹介しましょうね。
まず大事なのは「こちらの要求を100伝えて100飲ませることを考えて望まない」ということです。それをやってしまったらモンスターペアレントと呼ばれるものになってしまうかもしれません。
100のところに理想となる解決(今回ならばバスに笑顔で乗って登園すること)を置くとして、100は求めない、それを押し付けない、というのはまず表明します。
これは
「あなたがたの敵ではない」「協力関係でありたい」
という表明でもありますね。
こちら側としてはここまで譲ることは想定している(今回は親の送迎ですね)として、どういう問題があるかを双方で把握し共有し、園としてはどういう対応を見せてこちらに寄り添ってもらえるのか、というのを求めます。
私がツイッターでよく触れる「落としどころを見つける話し合いをする」というやつです。
とりあえず園そのものが嫌になるのを避けたいので当分はバスをやめて送迎で対応をしようと思う、ということ、ただ、いずれバスに喜んで乗ってくれることを目指したいということ、そのためにはどんなことが必要かを「一緒に考えて欲しい」ということ。
園関係者がまともであれば、この働きかけの段階で園側の対応のどこがまずかったかを考えてくれると思います。
また、どういう対応をしていくよう指導していくか、からかう園児に対してはどういう対応をするか、など「園としてできること」を出してくれるのではないかと思います。
おわりに
途中でもちょっと触れましたが、園側に言わない、ということは親としては園には対応してもらえないと諦めているからかもしれません。
しかし園の側からしたら、問題があることに触れないまま親だけが対応してしまうことで「自分の子供側だけの問題と親が把握している」というメッセージに受け取られてしまう可能性もあり得ます。それは本意ではありませんよね。
園の対応について疑問を持つことやそれに対して聞いたり話したりすることそのものを恐れる必要はないと思います。
「どういうことですか!」と突然怒鳴り込んだり、要求を100%飲ませようとゴネたりせず、「この対応にはどういう意図があったのか」「こちらはこういう風に困っているけれど、いい方向に行くように一緒に考えたい」と申し入れることは何の問題もないですし、むしろお子さんを真ん中にしていい関係・いい環境を築くために双方のメリットがあることですから、どんどん気になることをお話しして良いと思います。