少し前になりますが、質問箱へこんなご質問をいただきました。
(すいません、テキストの状態で抜き出すやり方がわかりませんでした)
ご質問いただいてから時間が空いてしまってごめんなさい。
バタバタしていたこともあるのですが、もう一つ事情がありまして。
この質問をいただいたのは連載させてもらっているゼクシィみんなの体験記の8月分の原稿を送った直後で、内容がちょっと被っているのでどうしたものかな〜と思っておりました。
その連載記事が今日アップされたので、折も良いかなと今日お返事をしたためることにした次第です。
その記事がこちら
この記事の中で私は、「本好きな子に育てる」ではなく「本が嫌いでない子になってもらえたら」という我が子への願いについて書いています。
お返事の大半はこの記事の中に入っているのではないかな、と思うので、よければご一読くださいませ。
さて、ここからはご質問の内容により特化したお返事を書こうと思います。
一般的なお話ではなく、質問者さんのお子さんのこと。
質問の中でお子さんについて「ADHD傾向のある小1」との情報をいただいています。
国語の音読もちょっと大変そうな様子なので、文字を読むという部分について若干しんどさのあるお子さんなんじゃないかな、と思いました。
音読はできているようなのでディスレクシア(読み書き字障害)と診断がおりるほどではないのかもしれませんね。
ただ、文字の読みづらさや、ADHD由来の落ち着かなさ、他のことに興味がそれやすく文字に集中できない…何が原因かはわかりませんが、年齢相応より少し文字を読むのが苦手なご様子。
でも私は専門家ではないので「なぜか」の部分にはクローズアップせず「とりあえず今、読むのが苦手なんだろうな」という前提でお話をさせてもらえたらと思います。
1年生の段階で読むことに苦手があれば、本を読もうという気持ちになりづらいのは自然なことなんじゃないかな、と思います。
お子さんにとっては、文字や文章はまだ十分な情報を得る手段になり得てない、と考えても良いのではないかな、と。
うちの次男もいろんな凸凹のある子です。
中2の今でも、小3の弟よりも遅れている部分もあるなぁと見てて感じるほど。
でも、そんな彼の発達が遅れている部分も、彼自身の1年前や3年、5年前と比べたら彼なりのペースで成長をし続けています。他の子に比べたらとてもゆっくりではありますが。
質問者さんのお子さんの文字や文章を読む能力も、きっととてもゆっくりゆっくり、伸びていくんじゃないかと思います。
同じ年齢のお子さんと比べるとちょっと悲しくなってしまうかもしれませんが、それでもきっと、彼なりのペースでゆっくり発達し続けていくはずです。
じゃあどう伸ばすか、となるとこれはもう言語療法とか専門家の領域に入っていくと思うので、私からはあくまでも親としてできることをご提案しますね。
大事なのは、ゆっくりな彼の発達を焦らず見守ることだろうと思います。
(と言っても焦りますよね、わかりますわかります)
①絵を見て楽しむ→
②読んでもらってお話を楽しむ→
③自分で読む
すごくざっくりですが、本を楽しむのも段階があると思うんですね。
お子さんが今どの辺にいるかな、っていうのを確認してみてください。
質問文の中からは本をお絵描きの見本にしているようなお話がありますよね。
では、お話の内容についてはどうでしょうか。
興味のある分野のことならお母さんが読むのを聞けますか?
もしそれができる段階にあるなら、積極的にその時間を持つのはどうかな、と思います。
一緒に図書館に行って、興味のある本を見つけて、それをお母さんが読む。
年齢相応ではなく、より小さい子を対象にしたところから選んで良いと思います。
いわゆる絵本として並んでいるもの、その中でも1ページあたりの文字が少なく、単語の間にスペースがあって読みやすいものが良いかなと思います。
それを、お母さんが読んだり、一緒に読んだりする。
まずはお母さんが読むことからでいいと思います。
親が楽しそうに読んでたら、もしかしたら一緒に読みたくなるかもしれません。
その雰囲気が感じられたら、1文ずつ交代で読んでみるのもいいと思います。
読みづらそうなときは今読んでいるところを文を指でなぞってあげたり、定規のようなものを文の下に当ててみたり、本人が読みやすくなるような手助けをしてあげるのも良いと思います。(この辺りに興味がおありの時は、ディスレクシアに対する支援について調べると参考になるアイデアがいろいろ出てくると思います)
無理に本人に読ませなくても、年齢を気にせず何歳でも読み聞かせをやっていいんじゃないかな、とも思います。
本の中に物語や情報があることを知ることで、お子さんにとって本が「絵の描かれたもの」から「読み物」へと少しずつ変わっていくのではないかな。
読み聞かせることも無理強いはせず、お子さんが読んで欲しいと思うときだけにしてもいいと思います。
鉄道や虫に興味があるということは、好きなものがちゃんとありますよね。
その好きなものについての情報が本に詰まっていると知ること、そこに書かれている文字でそれがわかる、自分で読んでみようと思う、そこに自発的に至るまで、ゆっくりゆっくり見守ってあげるのはどうかな、と思います。
ものすごく時間がかかると思います。
気が遠くなる話かもしれません。
でも、そうやってゆっくり見守ってあげればきっと、本は彼の人生を彩る一つの大事なパートナーになっていくんじゃないかと思います。
発達のゆっくりな子を育てるのは本当に気力のいることです。
ものすごく長いスパンで見守らないといけない。
焦る気持ち、はやる気持ちをぐっと抑えることの連続です。
周りの子たちの成長していくのを見ながら、泣きたくなる日もあるかもしれません。
通常級にいて、頑張ればある程度できることもあるグレーの子を育ててると、よりそれを強く感じるかもしれません。
でも、やっぱりいろんなしんどさがある子だから。
頑張ればできるってことは、頑張らないとできないってことでもあるから。
だから、彼のペースに沿いながらゆっくりゆっくり見守ってあげられたらきっとお母さんと楽しい本の時間を培っていけるんじゃないかと思います。
余談ですが、学校の図書の時間に本を選ぶのが難しいという件については担任の先生に相談するのも良いと思います。
担任や図書館司書の先生と一緒に選んでもらったり、選ぶのがしんどいときは借りるのをパスさせてもらってもいいんじゃないかな。
学校の図書を借りない分、図書館や本屋さんなどに足を運んで本人にも手に取れるような本と触れ合う機会を作っておくのも良いと思います。
あと、学校で借りた本を必ずしも読まないといけない、という概念を捨てる、というのもひとつの手です。
借りる練習をしてきた、くらいのやんわりした感じで読まずに返したっていいと思うんですね。持ち帰るのが重いなら、読めないので置いて帰ってもいいか、と交渉するのもありだと思います。それか、すごく薄い本を借りちゃうようなちょっとずるい逃げ道を見つけちゃってもいいかもしれない。
もう今年の夏休みは終わってしまったけど、長期休みに貸出のために図書室が開放されていることはありませんか?
もしあれば、その日に一緒に図書室に行って、この辺の本を借りたらどうかな、って借りやすそうな短くて薄い絵本をいくつか探しておくのもありかな、と思います。
こんなかんじでいかがでしょうか??
また追加のご質問があったらいつでもどうぞ〜〜。
余談ですが。
発達さんと暮らしていく中で、私が時々ハッとすることがあります。
つい、いろんなことを【年齢相応】に考えてしまいやすいこと。
発達がゆっくりな部分があることは頭ではわかっているのだけれど、見た目はそれなりに育っていたり、計算や受け答えなど年齢相応かときに同年齢の子よりも秀でている部分もあるがゆえに、ついいろんなことが年齢相応にできるような気持ちになっていたりするのです。
でも、そうやってグイグイ引っ張ろうとして先走って、ふと次男がついてこれていないことに気づくことがあるんですね。
あ、そうか、この子はここがすごく苦手だったんだ、無理なことだったんだ、まだゆっくりだったんだ。
ひとつひとつの分野ごとに、この子の発達は今どのくらいかな、どんな方法ならわかるかな取り組めるかなって考えながら対応しなきゃいけない。
それは時に辛い修行のようでもあり、時に楽しい宝探しのようでもあります。
今回は本を読むということに特化してお話をしましたが、発達に凸凹がある子たちが何かに取り組みづらそうにしていたり、苦手があったりする時には【年齢】ではなく【そのトピックに関する発達段階】を探って対処していくというのは共通する対処の手段かなと思います。
どうあがいても発達しきれていないスキルは身につけられないと思うんですね。
これは次男を見ていても、自分自身の体感からもそう思います。
知的な遅れがなければ頭では「こうしたほうがいい」は理解できたりします。
でも、頭でわかっていてもどうにも体がついてこないことがあるんですね。
それは、頑張りが足りないとか訓練がたりないとかだけの話ではなくて、やっぱり「成長が追いついてない」というのもすごく大きな影響があると思っています。
ある程度の努力を経てもできないものは時間しか解決できない、だからやんわり見守るしかない。無理強いしてもメンタル削れて本人が苦しむだけ。
それが、次男と14年暮らしてきて私がいま辿り着いた、達観の境地みたいな感覚です。
今日はここまで。