スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

サイボウズ式「漫画家「うめ」の“父母会スリム化”」を読んで思う、正攻法の改革とそこに感じる不安


cybozushiki.cybozu.co.jp

 

を読んで色々と考えたことを。

 

インタビュアーはライターの大塚玲子さん。

以前大塚さんの著書に協力させて頂いたことがありそのご縁でTwitterでPTA関係の事で色々と教えて頂いたり情報を頂いたりしております。

 

「正攻法」で突き進む姿勢

うめさんの父母会改革のお話は以前noteの記事を購入して読ませて頂いたことがありましたが、そのときより詳しくお話しされているように感じました。

今回改めて読ませて頂いて思ったのは、「うめ」さんのやり方は「正攻法」だなということ。総会を利用して決議を取る、という手法で突き進めることで異議を挟む余地は残さない。やり方として至極真っ当で、正しい、気持ちいいほどに。

 

総会で決まった事を覆すには臨時総会を招集して決議を取る必要がある、異論を唱えるとはそういうことだとつまびらかにすることで異議はトーンダウンしていき、改革がやりやすくなっていったんだろうなと思いました。

 

お父さんを巻き込むやり方

同性同士でウエットな関係を広げていくことで味方を増やしていく、そうやってそれまで母親主導だった父母会にお父さんたちを巻き込んでいく。そうすることで男性の入った組織へと自然と変化していき、意見のまわり方、組織のあり方が変わっていく。

そうやって組織そのものの状態が少しずつ変わっていくことで細かな改革が通りやすくなっていく土台となっていたんだろうなと感じました。

 

シャットアウトではない改革

広報紙や連絡方法のところで感じたのですが、何かを無くす、やめる、変える、というときに「うめ」さんのやり方はバッサリ変えつつも取りこぼしがないような一定の余地を残しているように見えました。

広報紙やプリントの配布はバッサリ止める、でも壁新聞にする、メールやLINEなどの連絡方法を採用し連絡の漏れがないような体制を作っておく。

ここで意識されていることは「最終的に果たしたい目的を見据え、それが達成出来る体制は変えない」ということと「変えることにより目的が達成されないことがないような体制は整えておく」ということ。

 

ここには表裏2つのメリットがある、と感じました。

1つは「旧体制からの変化で困る人が出ないよう配慮されている」という表向きのメリット。もう1つは「それ以上の苦情は言えない」という隠されたメリット。

 

総会を上手に利用したのと同じように、制度や規約を上手に利用して細かな苦情を挟む余地が出ないように整え、改善をはかる姿勢が全体を通して感じられました。

 

正攻法の陰に感じる不安な点

正攻法で突き進む「うめ」さんの改革のやり方、これとても有効な手段がたくさん詰まっていたと思います。これから挑む方には参考になるだろうなと。今まさに同じように取り組んでいる夫にも早速LINEでURLを送りつけておきました。

 

ただちょっと感じた不安な点、それは「女性主導の会では難しいだろうな」ということ。

 

「うめ」さんのやり方、白黒がはっきりしていて、規定をしっかりと利用していて、間違いが無く非常に判りやすい。竹を割ったように判りやすい。それ、男性だと共感を得やすく進めやすいやり方なんだろうなと思います。

 

でもそのやり方の過程で水面下に潜んでしまった(主に)お母さんたちの声、それがとても気になってしまいました。

 

潜ってしまう不満やモヤモヤ…

「正しい」手順を踏んだ上でぐうの音もでない正論を突きつけられてしまえば、特に女性の輪や旧態依然の組織にありがちな「なんだかうまく言葉にできないけどでもなんかイヤ(不安・納得いかない・気に入らない)」というモヤモヤしたなかなか言語化できない感情は表に出せないままになり、無かったことになっていく、そうやって組織は表面上うまく回り始めるのかもしれないけど、でもその潜ってしまった不満やモヤモヤした感情はどうなっていくんだろう…と。

 

もちろん、そんな言語化も出来ていないような反論にもならないものを相手にする必要は無い、と言えばそれまでです。会の規約があり、それに基づいた総会が長の招集により行われ、規約通りに承認されている、というどこからの文句のつけようもない結果がでているわけですから、それ以上取り合う必要は無いのかもしれません。それは、組織としては間違ってない。

 

でもそこは、やっぱり無視出来ないよなと思うのです。

 

不満やモヤモヤが与える影響

父母会、PTA、という組織そのものはうまく回るかもしれないけど、その組織の周りには保護者同士の付き合いがあり、その親に育てられている子供同士の関係がある。

表に出なかった不満やモヤモヤが、その周辺にどんな風に波及していくのか、と考えたらやはりそれは、少なくとも今の日本らしい社会の中ではバッサリ無視出来るような種類のものではないのかもしれない、と不安に思ってしまうのは、私が実際にその問題に直面したことがあるからかもしれません。

 

親同士の些細ないざこざが小学生の子供たちの人間関係に大きく影響を与え、結果的に子供間のいじめに繋がってしまうようなケースが身近で起こったこともあります。園児ならまだあまり影響はないかもしれませんが、不満を抑え込むことがそういう、人間関係のもつれに繋がるのではないか、という懸念が浮かんでしまいました。

 

そんな子供のような稚拙な揉め事は起こらない確率の方が高いのかもしれません。杞憂であればそれで良いのかもと思いますが…。

 

女性にありがちな傾向と、改革を支える力

「うめ」さんのお話のなかでは他の本部役員さんたちとどう連携を取られてきたかはあまりわかりませんが、同じような改革に挑んでいる夫に伝えていることがあります。それは、女性の協力を得ることを意識して欲しいということ。

 

男性にとってはあまり抵抗が無いかもしれないけれど、女性の中には総会などの規模の大きな場での発言は難しいと考える方も少なからずいます。男性の視点から見たら「発言の機会はあった」と思える場を用意していたとしても、その場では意見を言えないというケースもよくあります。

男女の特性の差なのかな、と観察していて感じることなのですが「自分が決めた」「自分が頼んでやってもらった」「自分から手を挙げた」という自分が矢面に立つ事をなるべく避けたり、一人に責任や権力が集中しにくいような話し合いの流れを作ったりする傾向が女性中心のコミュニティではよく見られます。女性だけの話し合いが男性から見たら不毛なやり取りを繰り返してダラダラとただ長引いているように見えるのも、役員などが簡単に決まらないのも、おそらくはこの性質が影響しているのではないかと考えています。私はそれが理解できず苦手なのでいわゆる男性脳というやつなんだろうと最近は思っています。

この傾向が生物的な性差なのか、長期にわたる性的役割分担の結果として現れているのかは私にはわかりませんし、自分も含め異端は少なからず居るので男女という性別で区切ることができることでもないのだろうとは思います。が、とりあえず「なんかしらの違いが在る」のは事実として避けて通れないように思います。

 

この傾向は男性側から見たら「くだらない」とバッサリいきたくなるようなことだったりするのですが、女性の輪のなかでは大事にしておく方が恐らくは平和を保てる、守った方が無難な流れだったりします。そこを無視したら、多分女性を多く含む父母会やPTAという組織では改革も表面的なもので終わりやすいんじゃないかなと。

 

夫の属するPTA本部では全体の半数以上を女性が占めています。そして、総会や運営のための会議に参加するのもほとんどが女親、そんな組織の中で女性特有の流れをある程度は大事にしていかないと協力が得られにくいんじゃないかと思うのです。

そのためには本部役員の誰かがそのパイプ役というか、調整役を上手にやってくれると関係がある程度うまく保てるのではないかな、と。そんな協力してくれる女性の心理がわかる人が支えてくれることで改革もよりやりやすくなるのではないかな〜と夫ともよく話しています。

 

おわりに

思うに任せて書いていたのでかなり長くなってしまいました。

「うめ」さんの改革、ご本人が小学校では…と仰っているように規模が大きくなればなるほど恐らくは大変で、かつ自分を削がれることなのかもしれません。

組織として長く慣例にならいながら続けて来たことを現状に合わせて変えていくというのは長期的に見たら必要なことでも、実際に現場でそれをやろうと思ったら相当の労力を必要とします。今まで続けて来ていることの利も意識しなくてはいけないし、変えることによる弊害がどこにどう出るのかも配慮しなくてはいけない。批判を受けることもあるし誤解されることもある。新しいことはやらずに前例を踏襲して任期を終えた方がよっぽど楽なんだろうなとと夫をそばで見ていても思います。

 

組織を変えていくことが結果的に子供たちのためになる、と信じて活動しようとする姿を眩しく誇らしく思うと同時に、どうやって支えていったらいいのかを考えていくことが今後の自分の課題でもあります。

 

最後に私も協力させて頂いた大塚さんの著書をご紹介。 

PTAをけっこうラクにたのしくする本

PTAをけっこうラクにたのしくする本

 

PTA活動の参考になる色々なヒントがつまった本、イラストも多く読みやすくてオススメです。

スポンサードリンク