スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

「親が追いかけている幼児を保護しない大衆」を掘り下げてみました 〜先日のアンケートの結果から


幼児を追いかける親、避ける群集…

今回の記事をまとめようと考えた発端は、Twitterで見かけた眠れる森の8さんのこのツイートでした。

 

先日テレビで流れていた幼児用ハーネスに関する是非を問う番組、それを受けてネット上でハーネスについての話題が色々と出ていたときに眠れる森の8さんがハーネスを使おうと決めるに至ったご自身の経験を書かれていたものです。

 

眠れる森の8さんはこのツイートを通してハーネスの必要性を書いておられ、のちに助けてくれなかった方を非難する意図があるわけではないというツイートを補足的に書いておられました。私も最初のツイートを拝見してそれは感じたのです、でも「わざわざ避ける???」とビックリしたんですね。スーパーの中で幼児が走って出口へ向かっている(出れば危険な状況)で母親とおぼしき女性が叫びながら追いかけている、そんな状況で「幼児を助けない」「保護に手を貸さない」という選択肢が自分の中に浮かばなかったのです。

 

そこで、アンケート

ひとりで考えても悶々としそうなので、Twitterのアンケート機能を利用してアンケートをとってみました。

 

【どなたでも対象アンケートです】 人ごみで走って逃げる幼児とそれを呼びながら追いかける親に遭遇したらどうしますか?

①何も言われなくても子供を保護する手伝いをする

②何か言われたら手伝おうと思って見守る

③関わるのは避けたいから何もしない

④閲覧用(機能上投票しないと投票の経過が確認できないので設けました) 

この設問そのものも本当はもっと分けられたらよかったし③の理由を断定してしまったところも答えづらかったかもしれないと反省しています。

 

アンケートには計4051票の投票をいただき、うち④閲覧用を除く有効票は約3400票頂きました。ご協力頂いたみなさまありがとうございます。

 

そしてアンケートには設問への回答だけでなくたくさんのメンションなどによるご意見も寄せて頂きました。いただいたたくさんのご意見から自分に見えていなかった部分がいろいろと見えて来た、今日はそれをまとめます。

 

助けてもらったから、手伝いたい

全体の総数から閲覧用を除いて①の「何も言われなくても子供を保護する手伝いをする」と答えてくださった方は40.96%でした。

恐らくはその4割のなかの方と思われる方の声として「過去に自分も見知らぬ人の助けてもらって感謝しているからできるだけ手伝いたい」と書いて下さった方が複数いらっしゃいました。多動児を育てている、と仰る方、男児2人のお母さん、お子さんが2歳のころに走って車道に出るところを助けていただいたという方……

 

私自身も、おそらくはこの方々と同じ気持ちでした。自分が年子の男の子2人とその下に2人、とっさに飛び出す子供に「危ない!」と感じたことは1度や2度ではありませんでした。公園で遊具に目もくれずすごい早さで土手を越え川に向かって走るまだ2歳くらいの息子を一緒に走って追いかけてくれた方に何度も頭を下げたこともありました。

 

6割の「見守る」「何もしない」という回答

①を選んで下さったのは4割、つまり、全体の6割の方は「何も言われない状況で手は出さない」と判断なさっているということが結果からわかります。細かく数字を挙げると、②の「何か言われたら手伝おうと思って見守る」と答えてくれた方は①と同じ40.96%、③の「関わるのをさけたいから何もしない」と答えてくれた方は18.0%、合わせて58.96%でした。

 

地域的な差も考えると、東京都心などネット上でよく「子連れに冷たい」と評される地域だと①の割合はもっと減るのかもしれません。つまり、大衆のなかの6割を超える方がすぐに手を出そうとは考えていないということかもしれません。半分以上の方が手は出さない、そこにはどんな理由があるのかが、寄せられたたくさんの声の中から見えてきます。

 

・親子である確証がない

この指摘を多く頂きました。子供を追いかけているのが実の親かどうかの確証がない、だからどう手を出すべきかわからない、と。なるほどその通りだと思います。またここから派生して、どんな事情でその大人が子供を追いかけているのかがわからないから判断がつかない、というご意見もありました。親の虐待から子供が逃げているのかもしれない、という声も。

 

・どんな親かわからない

「保護すると答えたいところだけど『何か言われたら…』と思うと躊躇する」という声も複数いただきました。なにか手助けをしたらキレられてしまった、というのもネット上でたまに散見されます。モンスター親だったら…もし保護する段階で子供にケガをさせるようなことがあって何か言われたら…実際に保護したらその親らしい人から睨まれてしまった、という方も。

知人ではないその親とおぼしき大人がまともな会話が通じる相手かどうかもわからない、わけのわからない面倒に巻き込まれるかもしれない、その不安から手を出すのを躊躇するという方もいらっしゃいました。

 

私は地方住まいなのですが、それでも時々驚くような意見の相違を見せる保護者に出会うことはたまにあります。学校でもいわゆるモンスタークレーマーとはこういう感じなのか…と感じる方がいたり。そういう、自分の想定をはるかに超える人に関わってしまう怖さを考えると、たしかに手を出すのに躊躇する気持ちも分かるような気がします。

 

・どう接していいかわからない

これもたくさん頂いた声です。

独身や子供がいないという方から「小さな子と接する機会がないのでどうやったら安全に保護できるかとっさに迷いそう」「ケガをさせたらと思うと手はだせない」「保護の緊急性が判断できない」などのご意見がありました。

実子がいなかったり、弟妹や周りに小さい子がいる環境で生活をしていなければ幼児がどんな動きをするのか、親がどうして欲しいのか、というのをとっさに考えて行動に移すのは確かに難しいと思います。私も自分が独身のころだったらすぐに体を動かせていたか、自信はありません。

 

また、突進してくる幼児を安全に確保できる確証がない、という声もありました。これも確かに、ですよね。見ず知らずのどんな幼児かも分からない子が全力で突進して来たら私も思わず避けてしまいそうです。

 

・接触を嫌がる子かもしれない

ひとつ上のご意見に似ていますが、こちらはより子供に関する知識や経験が深い方から多く寄せられたご意見です。

発達障害など特性の強い子どもたちの中には、見知らぬ人から急に触られるとパニックを加速させるタイプのお子さんもいます。他人の接触を嫌がるタイプの子だと保護のためと思って出した手が逆に良くない影響を与える可能性もあるから何も言われない状況では手は出せないかもしれない、と。

 

このご意見、目からウロコでした。接触を嫌うタイプのお子さんがいることは知識として知ってましたがこの問題を考えるときに脳内でリンクできていませんでした。

 

知人の支援が必要なお子さんが学校内でパニックを起こしたときに知識の無い体の大きな学校の先生から突然床に押し付けられ拘束されてしまい、その後のケアにとても配慮が必要になってしまったという話を聞いたこともありました。状況によってはその子の今後に大きな影響を与えてしまったり、返って良くない状況を生んだりしてしまう可能性もあるのですよね、自分の思慮の浅さを痛感した回答でした。

 

「明らかに危険なら助ける」

様々な「すぐに手を出さずに見守る」「何もしない」という行動の理由のなかで多く添えられていたのが「明らかに命の危険があるなら話は別だ」という声でした。車道や駐車場に向かっているとか、今止めなければ命の危険が、と明らかに予測できるときには手を出すと思う、と答えて下さった方も多くおられました。

 

危険が予見できる状況あれば、助けてもらえる可能性はグンと上がるのかもしれません。

 

「助けてくれない」人たちは冷たい?

明らかな危険があるなら…と仰っている方がいるとはいえ、すぐには手を出さないという方が6割、大衆の6割が手を出さずに見ている、「冷たい」「ひどい」と感じられることもあるかもしれません。私が子供を追いかけている当事者だったら、なんで手を出してくれないの!なんで助けてくれないの!とその無関心に見える様子にショックを受けてしまうかもしれない。最初に紹介した眠れる森の8さんのツイートでも、そんな状況が垣間見えます。

でもその人たちはけして全員が全員、無関心なわけではけしてない、たくさんの「あえて動いていない」人たちもそれぞれに色々な状況を想定し、意識してくれている、思慮の深さがそこにあります。考えを巡らせ過ぎて手を出すにいたらないのかもとすら思います。

 

「その子、つかまえてくださ〜〜〜い!」

そう言ってもらえたらすぐ手を出せる、と答えて下さった方がいらっしゃいました。ほかにも、こうしてくれと言われたらできるだけ手伝える、という声も。②の「何か言われたら手伝おうと…」と答えて下さっている方は4割、つまり、追いかけている側が「助けをこうために何か言う」というワンステップを踏めば手伝ってくれる人の数は全体の8割になるかもしれない。(かなり単純な計算でアレですが…)

 

とっさのことで追いかける親もパニクってしまう状況かもしれない。でも、何も言わず追いかけたり、ただ名前を呼ぶだけや「まって!」と子供に向けてだけ呼びかけるんじゃなくて、「その子を止めて下さい!」「道路に出る前に捕まえて下さい!」と周りの人に呼びかけるという行動を意識することで周囲の人もより手を出しやすくなるのかもしれません。

 

おわりに

私が住んでいるど田舎やかつて住んでいた大阪の街中だと恐らくは丁寧に依頼なんてしなくても周りの境界線ガンガン踏み込んでくる人たちが「どうしたどうした」と手も口も出してくれるのかもしれません。そんなところで生活しているとつい「なんで走ってる子とめないの?普通止めるでしょ??」と思ってしまう。それが高じて「助けないなんて都会の人は東京の人は冷たいなぁ…」とすら思ってしまうことすらある。

 

でも実際には手を出さない人たちにもそれぞれの思いや考えや嫌な経験があったりする。不特定多数の大衆のなかの誰がどんな事情を抱えて、どんな風に思慮を巡らせて、そこで「見守る」を選択しているかは傍目からは分かり得ません。

 

ハーネスやベビーカーなどいろいろな道具をうまく使うことで自力で子供の命を守る、もちろんそれも大事なこと。その道具の使用がもっと暖かく受け入れられるようになって欲しいなと思うのはもちろんのことなのだけれど、周りの人たちにうまく助けてもらいながら子供を育てていくのも大事なことだとも思っています。

助けて欲しいと思ったときにどうしたらその実現可能性を上げられるのか、というのも私たち子供を持つ親として意識した方がよいのかも、と。

 

すぐ手を出すとは答えられないけど命の危険はないか見守りたいし何か言われたら助けたい、と思っている方は潜在的にたくさんいることもこのアンケート結果からは見えてきます。「助けて欲しい気持ちを声に出す」ことでその人たちとリンクできるかもしれない、アンケート結果やそれに寄せられた声の中から、そんな現実が少し垣間見えたような気がしています。

 

 

おまけ。

「眠れる森の8さんのツイートを見て『止めた方がいいんだ』と思った」という方もいらっしゃいました。実際に子供を育てている方でなくてもそうやっていろんなお父さんお母さんたちが発信する情報に触れることで行動を決めるための知見が増えていくってすごいなと思います。

スポンサードリンク