発売を心待ちにしていた阿部利彦先生の著書
『大人が変われば、子どもが変わる 発達障害の子どもたちから教わった35のチェンジスキル』
が届きました。
手元に届いてからブログを書き始めるまで約10分、一気読み初動の感動を忘れないうちにみなさんにお伝えしたいことをしたためておこうと思います。
まずはじめに
冒頭の「はじめに」の中でこの本の対象として書かれているのは「園や小学校の比較的早い段階のお子さんをお持ちの保護者の方」です。
発達障害のある子を持つ保護者、とは書かれていないところが阿部先生の素敵なところだなぁと思うのですが、ここに書かれている接し方は基本的にどんな子に対しても共通しているのではないか、と私は思います。
これはこの本に限らずですが、発達障害のある子に対する声かけの例の多くは定型発達やそれに近いお子さんにも有効です。
定型発達の子達は曖昧な表現を特別好む訳ではないと思うんですね。
多くは違和感や不快感をそれなりに覚えながらも、理解できないわけではないからスルーしてくれているんじゃないか、と感じています。
この本で示されているような丁寧な関わり方は一見発達障害のある子のための特別なスキルのようにみられがちですが、実際にはどの子に対してもコミュニケーションのストレスを軽減し、信頼関係を築きやすいのではないかと思います。
1章「ほめるスキル」と2章「しかるスキル」
この2つの章がまずすばらしい。
よく「子どもをほめましょう」と言われるけれど具体的にどうしたらいいのかわからない、というのはTwitterなどでもよく目にすることです。
また「叱らない育児」なんて言われるけれど実際には苦言を呈する必要は日常の中でたくさん出てきます。
「ほめましょう」「怒らない・叱りすぎない」なんてサクッと言われてしまうけれどなかなか実践するのが難しいこれら行為について、それぞれ7つの具体的な注意点をNG例も添えながら詳しく説明されています。
添えられているNG例がまた…
「上手に書けてるけど書き順がめちゃくちゃだよ!」
「いいかげん宿題しなさい!何回言わせるの!」
「やる気がないんだったらやらなくていいのよ、好きにすれば、もう勝手にしなさい」
ね…耳が痛いでしょう……
これら耳の痛い声かけについて、そう言われたら子どもがどう受けとってしまうのかを詳しく説明した上で、こういう声かけにしてみよう、という提案が添えられています。
3章「伝えるスキル」
ここでは、不適切な行動を禁止するときや違う行動に変えて欲しいとき、こうしてほしいときにどんな声のかけかたをしたら伝わりやすいか、NGの方法も例示しながら紹介されています。
明日は用事があるから早く寝てほしい、
危ないことをやめてほしい、
公園から帰りたいから遊ぶのをやめてほしい…
日常の中にたくさん出てくる、ちょっと言うことをきいてほしいんだけど…というタイミングでどんな風に言葉を選んだらいいかがわかりやすく書かれているなぁと思います。
4章「励ますスキル」
親として一番難しいかもしれない、手や口を出しすぎずに本人を見守り励ます方法について書かれている章です。
いわゆる傾聴と呼ばれるような、耳を傾ける方法も簡単に説明されています。
(この部分をもっと掘り下げようと思ったらぜひこちらを)
傾聴の他に、プロセスを楽しませることの大切さや成功体験を意識しやすくなるちょっとしたコツ、レジリエンス(立ち直り力)を育てるための言葉のかけかたなども紹介されています。
5章 スキルを支えるスピリッツ
ここは、親として何度も読み返したい章だと感じています。
トピックだけ書き出して壁に貼っておきたいくらい。
頭ではわかっているようで、でも日常の喧騒の中でつい忘れがちな大切なこと。
子どもを観察することの大切さやその子なりのプライドがあるということ、親としての心の持ちかたや自分のケアを大切にするということ…
阿部先生のやわらかい言葉で、親である自分をまずケアすることの大切さを諭されているような、読んでいて肩の力が抜けていくような、そんな章でした。
おわりに
バーーーーッと読んで感動をざーーーっと書いているので、もっとこんなことも言いたかった!こんな素敵なところもあった!と後から出てくるような気がして仕方ありませんが、とりあえずこのくらいでおわりにしておきます。
本全体、挿し絵も多く、またその挿し絵もとてもわかりやすく描かれているなぁと思います。
視覚優位の親御さんだったらこのイラストだけコピーして壁に貼っておいても効果絶大なんじゃないかと思うほど。
文字はユニバーサルフォントが全体を通して使用されており、スッキリした文字の配置でとても読みやすい紙面になっているところもさすがだなぁと。印刷業の端くれにいる者としても参考になるようなデザインだなぁと感じています。
親の会でも是非紹介させていただきたいなぁと思っています。
この1冊は発達障害のお子さんをお持ちの親だけで読むのはもったいない、ぜひ、小さい子を持つ親御さんや子どもと接することのある方に手にとっていただきたい。
知識のがっつりある親御さんにはちょっと物足りなさはあるかもしれませんが、これに物足りなさを感じたら【子どもに対する接しかたマスター】を名乗ってもいいかもしれない。
それくらい、子どもに接するときに大人として気をつけるヒントがぎっしり詰まっている1冊だと思いますよ〜〜!
慌ただしく書きましたが、ここまで!