スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

発達支援教室「るりえふ」の代表郡司氏と床下じぃじ氏ほか支援職のやりとりの記録と私の見解についての記録


このブログエントリは、発達障害スペシャリストと称される、発達支援教室「るりえふ」の代表 郡司真子氏の発言とその後の経過について、私が見てきたことの記録と「女性保護者」として感じたことを現段階で取りまとめたツイートに加筆修正し、保存用としてここに残すものです。

 

問題の発端はこの記事からです。

gendai.ismedia.jp

この記事の5ページ目で筆者から「発達障害スペシャリスト」として紹介されているジャーナリストであり発達障害支援教室を主宰されている郡司氏の発言が記されています。

画像として引用します。

f:id:suminotiger:20201101102318p:plain

この部分に関し、支援職の立場にある床下じぃじ氏 @yosicco より境界知能の定義に誤りがあることなどについて指摘がありました。私も記事を拝見して「知的障害スペクトラム」という初めて見る単語と境界知能として記されているIQの数値におかしさを感じましたが、突っ込んだ言及は避けていたような記憶があります。

(何かしら呟いたかもしれませんが記憶があやふやです、すいません)

 

私はいち保護者であり、発達障害や医療の専門家ではありませんので厳密な定義などについては専門家の先生方にお任せすべきだろうと思ったことも突っ込んだ言及を避けた理由の一つではあります。

(そのほかの個人的な感情については今は触れずにおきます)

 

指摘を受けた郡司氏は記事中の発言についての訂正をするでなく、また自身の発言の論拠を示すでもない態度をとりました。


そしてその後ツイートを重ねる中で
「記事中で示したIQの値は東京都やその近郊で就学時の在籍級を決める際に行政が線引きとして利用している数値である」

と展開されました。

 

記事で書かれているのは郡司氏らが提唱している概念数値ではなく、実際に行政の側が子供達の就学の判断をする際に利用している数値である、というお話。

さらに別の方から医師などの専門職が講演の場で話しているのを聞いたことがあるというお話も出されました。

 

この件についてどの講演で誰が発言したことなのか、と言う質問については「答えない」というお返事で、詳細はわからないままです。

 

話を戻しますが、当初の発端になっており、床下じぃじ氏他数名の専門職のアカウントから記事内容の確認や訂正を求められている部分には、画像からわかるようにその後郡司氏が出された「東京都やその近郊で実際に起こっている問題」ということは触れられていません。

 

また、指摘を受けているのは「知的障害スペクトラム。いわゆる境界知能です。IQが85から100くらいまでの間」という部分であり、それ以外の部分についてや、またその後の郡司氏が問題視されている東京都や横浜市で起こっているという就学時の行政側の対応についての問題に指摘を受けたものではありませんでした。

 

その後郡司氏が提示した横浜市の就学時の問題の証拠であるというPDF資料についても、IQのことが記されているのは28Pの知的障害の線引きの部分のみで、郡司氏が提唱する「IQが85から100くらいまでの間」の知的障害に該当しない発達障害児が不当な選別を受けていることが示されているものではありませんでした。

 

郡司氏はその数値による線引きが行われているというのはご自身が実際に取材した中で得た情報だとされておられましたし、そのような事実が実際にあるのであればプロのジャーナリストとして問題をつまびらかにし、改善のためにご尽力していただきたい。

しかしその問題と、今回床下じぃじ氏を含む複数の専門職のアカウントから指摘されている「IQが85から100くらいまでの間」「知的障害スペクトラム」という当初の記事の中で触れられている部分やその後郡司氏が展開されている「横浜市で実際に起こっているIQによる選別」というお話に関して、このまま放置しておくことは多くの保護者や当事者の混乱を呼びかねない、と思うまでに至りました。

 

※ここまでの郡司氏や支援者の方たちのやりとりについてはツイートまとめなどで詳細にまとめることも可能かと思いましたが、私のキャパでは無理なのであくまでも私の言葉で書くに留めます。

 

私は郡司さんと同じ発達障害のある子を持つ母親として、通常級の教室の中で教員の不適切な指導で苦しむ子供達を何人も見てきているし、就学判定の時に希望とは違う道を示されているケースも知っているし、そこで様々な葛藤を抱えながら子供のより良い環境を得るために尽力するたくさんの親御さんを知っています。一緒に歩いています。


その方達や、これからそこに至るであろうたくさんの、発達障害のある子とその保護者にとって、エビデンスのない情報、丁寧に整理されていない中途半端な情報を出すことはただでさえ苦しむ当事者親子をさらなる混乱に巻き込むことにもなりかねません。

 

郡司さんの発言により、東京都や近郊都市の未就学のお子さんを持つ保護者のみなさんが、IQによる選別を受けるかもしれないと混乱し、その不確かな情報をもとに教委や学校と交渉することで関係性が悪化したり、受けたほうが良い発達検査を拒否したりすることが起こらないかと心配です。

 

発達検査は本来はその子の今を知るための大事な検査であり、まともな支援者はIQの数値だけを見ることなどしません。

私も我が子の関わる教員や支援者の皆さんに発達検査の結果を資料として提示することはありますが、各数値の差やそれぞれの数値について話題に出たことはありますが、IQの値で何かを決められたことはありません。

どの判断も発達検査の結果はあくまでも目安のひとつでしかなく、本人の現状の課題を元にして話し合ってきました。これは「東京都とその近郊」ではない小さな地方都市の、1ケースでしかありませんが。

 

私は、ペアレントメンターや親の会に関わったりする活動などの中で様々な保護者の方を見てきましたし、学校や教委と交渉する過程を見守ってきたこともあります。
その中で、うまくいくこともうまくいかないこともある。私自身も交渉がうまくいくこともうまくいかないこともあります。

 

交渉をうまくやり、またそれを継続して子供の心を折らないように育てていくためには、様々な情報をかき集め、整理して、対応していく必要があります。


郡司さんも母親としてそこに尽力されてきたであろうことは、お察しします。

 

ただ、同じ保護者としての立場にある私からは、いまのあなたがその保護者としての立ち位置と、ジャーナリストを名乗るプロとしての立ち位置とがうまく整理しきれていないように見えます。

 

あなたの発信する断片的な情報は、保護者としての我々を混乱させてしまうものです。そして、正確な知識を持ち合わせないまま子供達と接する教員をも混乱させ、結果的にその不利益を子供達に生じさせることになってしまいます。

 

我が子を守りたいように、たくさんの発達障害のある当事者児童生徒を守っていきたいお気持ちがあるなら、どうか発信される情報を丁寧に整理なさってください。

これからの親子に不利益が出ないような、プロとしてのお仕事をなさってください。

 

最後に。


これは「女性保護者」としての立場から書きます。

 

床下じぃじさんなど複数の専門職からの指摘は、あなたが女性だから、母親だから、寄せられているものではないように私には見えます。

明らかな事実誤認であり、そこを指摘されているに過ぎません。

 

また、それぞれの専門職の方が「男性だから」発しているものでもないように見えます。事実、あなたと同じ「女性保護者」である私にも、記事が出された当初から当該部分について彼らと同じ疑問を抱きました。

 

女性だから、母親だから、非難されている、という話に転じさせていくことは問題の主題から目をそらさせようとしていると受け取られても仕方のない行為です。

あなたにその意図がないなら、いますぐ取り下げられた方がいい。

 

ネット上で「都合が悪くなったら女性という立場を利用して逃げる」というレッテルを貼られかねず、そのことは私たち正々堂々と保護者として行政や教職員と対峙して我が子を守っていこうとする保護者全体にとっての不利益です。

「女性保護者だから」とまとめないでください。

 

私の言葉があなたに届くかどうかはわかりませんが、それはあなたの側の問題なので私にはどうしようもありません。ここに言葉をおいて、それで終わりにします。

長くなりましたが、これまで見てきたことの整理と私の見解は以上です。

 

ツイートではここで終わりましたが、もうひとつ最後に付け加えます。

もし郡司さんの一連のツイートやそれに付随する情報を見てお子さんの就学について不安を感じたり、どうしていいかわからなくなったりした保護者の方がいらっしゃったら、どうぞTwitterでいつでも声をかけてください。

私は地方在住なので東京都やその近郊のことを直接知る事はできませんが、Twitter上には当該地域の保護者やそこに関わる支援職の方はたくさんおられます。

一緒にお子さんの就学についてのベターを探るのを手伝ってくれる力になってくれる方は必ずいらっしゃると思うので、不安に駆られてしまったら、どうぞいつでもお声をかけてください。

それが、今回のことに関して「いち保護者」として私ができる唯一のことなのではないか、と今は考えています。

スポンサードリンク