救急救命講習に参加してきました。
台風の影響があるようなないような、そんな不思議な雰囲気のなか学校だけは早々と休校が決まってしまったのでもてあました子供たちが家でぐだぐだになっている、そんな木曜日。
先日のエントリ
私が救急車を呼んだときのこと。 ~AED使用遅れの訴訟の記事から - スズコ、考える。
を書いてから数日後に小に学校主催の救急救命講習に参加したので、備忘録としてまとめておこうと思います。
詳しい流れについては
【日本赤十字社】寄付・献血・ボランティア|一次救命処置の手順
【日本赤十字社】一次救命処置(BLS)~心肺蘇生とAED~ - YouTube
等を参考にしていただけると良いかなと思います。
私が今回習ったのもこの手順とほぼ同じでした。
講習に参加するのはたぶん4回目で、習った手順も毎回ほぼ同じです。
でも不思議だなぁと思うのは、何度受けても毎回へえそうなんだ、っていう新しい知識が追加されていくんですね。担当してくれる講師の方の知識や説明のしかたにもよるのだろうし、そのとき質問で出ることへの回答として新しいことが追加されることもあるのだろうなと思います。
このエントリでは、今回の講座の中で私がへえそうなんだ!って改めて思ったことを書いておこうかなと思います。知識のある方にとっては「そんなことも知らなかったのか!」ってこともあると思いますが、初めて知る方にとって参考になればいいなと思うので恥を忍んで色々書いておこうかと。
1.「だいじょうぶですか?」のときどこを叩くか。
「よくドラマで、大丈夫ですか?って声をかけるときに顔を叩くシーンがあるんですが、あれは間違いです」と講師。
叩くのは肩、が原則。
なんで顔じゃダメなのか。脳の出血などで顔面麻痺になっている可能性もあるので顔を叩いても刺激が伝わらない可能性もあるそうです。
2.正常な呼吸、ってどういう状態か
上記リンクの中にもありますが「正常な呼吸をしているか」という判断項目。
正常、ってどういう状態かわかりますか?と問われたのですが「正常?」確かに良くわかんない。「普段どおりの呼吸、ということなのですが、普段どんな風に呼吸してますか?意識してないですよね、それが、普段どおりの呼吸です。」とのこと。
口をパクパク意識して動かしたり、肩を動かして息を吸おうとしていたりするのは普段どおりではないので、そのときは「正常な呼吸はしていない」と判断してください、とのこと。
3.心臓はどこにある?
一次救命措置のキモは胸骨圧迫(心臓マッサージ)だと今回の講師の方も熱心に仰っていました。AEDを使うことも大事だけど、この胸骨圧迫を間を空けずに続けることで蘇生率が違ってくるので大事にして欲しいと。
で、問題は「どこを押すか」
心臓はどこにあるか、と問われて私は左胸を意識しました。同じように左胸のあたりを押さえる参加者を見回しながら「ここです」と講師の方がおさえたのは胸の真ん中。
乳首と乳首の間、という表現をすることもあるそうです。
心臓の位置は胸の真ん中、やや左よりに傾いているので左側で心音が鳴っているように感じるのだそうです。
胸骨圧迫ではこの胸の中心を、ひじをしっかり伸ばして5cm程度沈むことを目安に圧迫、タイミングは1分に100回(4拍子のリズム、もしもしかめよ♪ を歌うと丁度良いテンポ)を目安に。
※子どもの場合は身体の三分の一が沈む程度の力が目安とのこと。
30回、声を出して数えながら圧迫、テキストどおりだとその後で人工呼吸を2回、というのが入りますが、嘔吐や吐血があったり、心理的な抵抗があったりするときはそれで動揺して胸骨圧迫の手が止まるほうがリスクが高いので嫌ならやらなくていい、とのこと。
※人間の身体のなかに温存されている酸素は心臓マッサージを続ければ6分程度は持つそうです。なので、人工呼吸ができなくても救急車到着まで圧迫を続ければ酸素をある程度身体に回すことができるといわれました。
AEDが到着するまでこの胸骨圧迫は絶え間なく続けてほしいので、一人が疲れてきたら「あと10回(5回)で交替してください!」と声をかけ、次の方が隣や対面でスタンバイしてくれたところで間があかないように手を入れ替えて欲しい、とのこと。
この交替のやり方については今回初めてレクチャーを受けました。また、AEDが到着してもセットが完了するまではできれば絶え間なく圧迫は続けたほうが良いそうです。
4.AEDが使えなかったとき
もしAEDで心電図の解析のあと「AEDの使用の必要なし」と機械が判断して電気ショックが行えなかったら。「ガッカリしますよね?」と講師。あぁそうだろうなぁ、と思っていたら「でも、そこからがみなさんの協力が本当に必要なところなんです」と。
心静止している状態からの胸骨圧迫がどのくらい続けられるかで、心室細動(AEDでの電気ショックが行える状態)を引き起こせる可能性がかわってくる、とのこと。
使えないと分かったところで力を落とさず、ここからだ、と思って救急車の到着まで諦めずに胸骨圧迫を続けてほしい、とのことでした。
その間もAEDのパッドはつけたままで、定期的に心電図の解析を自動で行うそうなので機械の指示に従うようにとのことでした。
一連の措置の中でのへ~と思ったことをまとめてみました。
ほかに、先日のエントリの中にあったスマホからの通報やGPSの検知の件などについて質問したところ
・GPSでは大まかな地域の判断は出来るがピンポイントでの検知はまだできないので正確な住所や目印になるものを言ってほしい、とのこと。これは自治体などで整備の程度が違っていると思うので、日本中同じだろうとは考えずあまり当てにしておかないほうが良いのかなと思います。
先日のエントリのブコメの中に「橋の名前を聞かれた」「電柱に住所が書いてある」等のご意見もありました。救急車が到着するための情報をどう得るかを考えるためには色んな方法があるのだろうなと思います。
・スマホからの通報の際に市外局番は必要ない、とのことです。119だけ押せば大丈夫です、といわれました。
また水泳の時期を前にした講座だったこともあり、水難事故についての講義も少しありました。
・水に沈む事故はプールの淵から1.5m以内の手前のほうで起こりやすいので、プールの周囲から水面を上から覗いて常に確認をして欲しい(遠くから水面を眺めても反射で底までみえないので必ず上から)
・水に入っていても脱水症状は起こるので、休憩のときは水分補給をさせて欲しい。この際、お茶や水では身体の電解質のバランスをかえって崩すことになるので必ず経口補水液を飲ませること。OS-1が最適、ポカリやアクエリアス等、手作りの物でもOK、だそうです。
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ちなみに私は水1リットルに砂糖大さじ4杯、塩小さじ半分、レモンや柚子、カボスなどの柑橘系の果物の果汁を大さじ2杯程度入れて自家製経口補水液を作ったりしていますが、これは自分で冷たくして管理が出来る範囲で。水筒に入れたりして長時間子どもたちに持ち出させるときは衛生面の心配もあるのでなるべく市販のものを使っています。※補足:お砂糖はうちはきび砂糖なので白砂糖や蜂蜜など違う甘みを使うときはもっと少なくても良いかもです。
おわりに。
何度参加しても新しいことが出てくる救急救命講習。
私がここでこうやって書いたことも、そんなこと常識だと思っている方もいれば知らなかった!と思う方もいらっしゃると思います。
知ってるから偉いとかじゃなくて、知らないと経験してないと適切に動けないのが一次救命措置の現場だと思うので、些細なことでもこういう形で共有しながら知識や経験をたくさんの人が積み重ねられるといいなぁと思っています。