スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

ヨザル夫婦というトレンドに、思う。


ヨザル夫婦、という言葉がTLに並んだのは1週間くらい前だったかな?

 

何それ?という方のために一応リンク貼っとくね。

2014年のトレンドキーワード発表 | RECRUIT HOLDINGS - リクルートホールディングス -

あと説明部分を引用しときます。

2010年に流行語大賞を取ったイクメンはあくまでも『お手伝い』感覚で育児を手伝うパパを指す言葉。2014年は、共働き夫婦が家事や育児を分かち合い、チーム育児をする「夫婦」の姿に注目。パパは、寝かしつけや病時対応も含めて、母乳以外はすべてできるイクメン2.0ともいえる進化を遂げた。男が育児に「参加」「手伝い」するのではなく、夫婦が同じ立場で、共に主体的に育児をする時代へ。こんな夫婦像を、抱っこや毛づくろいは父親、授乳は母親が担当し夫婦で育児をするヨザルにちなんで『ヨザル夫婦』と命名!ヨザル夫婦型のチーム育児こそが、夫婦円満のカギでもある。

 

 

だそうです。

へーと思いながら、なんかもやるわたくし。

いやそもそも、野生動物をなんかの理想っぽく引っ張り出すのがあんまり好きじゃないのだよね。

オシドリの夫婦が一生添い遂げるわけじゃないのは最近割と知られてきたけど、他にもさ、ほら水鳥は水面下で一生懸命足を動かしながら水の上ではそんな素振りは見せないとかね。実際に川に飛んできた鴨とか見たらわかりますが彼らそんなに足バタバタ動かさずに水面を移動しますからね。

 

野生動物好きとしては、プロパガンダの道具的に、都合のいいところだけ引用して利用されちゃうのはなんかいつももやってしまう。

 

今回のヨザルも同じなんだけど。

ヨザルのオスは授乳以外の育児は全部やる!素敵!リソウテキ!うちの夫もそうなってほしい!って幻想抱いてまたしんどくなる人増えるの目に見えてるじゃん。なんだかなぁ。

 

というわけで、ちょっと調べてみました。ヨザル夫婦の産後の生態。

参考ー動物図鑑/ヨザル

ヨザルはアマゾン盆地周辺など南アメリカ大陸に住む真猿類の一種。

オトナの体重は600~1000gほど。

妊娠期間は150日ほどで1回に1~2匹の子を産み、特に繁殖期間は定まっていない。

生まれたばかりの子は100gほどで、生後1~2週間は授乳以外の時間はオスが育児を行い、移動の時も体に乗せて移動する。このようにオスが育児を行う理由は、メスの体力消耗を防ぐためと言われている。

3~4週間ほどまで親にしがみついているが生後7日ほどで飛び跳ね始め、2年で成熟、3年で性成熟する。

 

というヨザルの生態。

注目していただきたいのは、ここです。

「オスが育児を行う理由は、メスの体力消耗を防ぐため」

 

「育児しないとメスの機嫌が悪くなるため」でも「メスがそう望んでいるため」でもないわけです。ヨザルのオスが育児をしメスの体力の温存を最優先する理由は、この参考リンクには書かれていませんでしたが、恐らくはメスの寿命を縮めないため、メスに次の子を産ませやすくするため、ではないかと思います。

 

オスもメスも自分の遺伝子を残すために行動している、というのはドーキンスの利己的遺伝子論。遺伝子を残しやすいような行動パターンを取りやすいという考え方ですが、ヨザルもオシドリも、そうやって自分たちの子供がなるべく多く、安全に大人になるための行動を選択した結果が、オスの育児であったり、パートナーの交代であったりするのではないかなと私は思います。

 

よく鳥は一夫一妻だ、という話も見聞きしますが、野生の白ふくろうでは餌が豊富にある時期には別のメスをもう1羽囲う行動も確認されています。チャンスがあればなるべく子供を多く残すための行動をしながら、野生で生きながらえているのだなぁと。

 

ヨザルのオスも、メスの機嫌を伺って育児していたり、自分の子だからチームで頑張らなくちゃ、と意気込んでやってるわけでもないのだよね。結局、それが子供の生存のために最も有効な方法だからやってるだけ。じゃあ他の野生動物のオスが情けないか、といえばたぶんそんなことはなくて、その環境や生態に合わせて子供のためにできることをしてるわけで。(いや、受精だけしてあとはメス任せの生き物も確かにいますけれども。それはそれで、その方が遺伝子を多く残せるというだけで)

 

じゃあここから、私たちホモサピエンスサピエンスは何を得るべきなのか、と思うのです。

ヨザルのオスが今の私たちにとってリソウテキだから真似しよう!なんて陳腐なお話ではせっかくの脳みそがもったいないと思うんですよ。

 

残念ながら私たちはどうも、野生動物が本来持っていた環境に即応しながら生きていく能力をどんどん失っているような気がします。それは、コミュニティで生きていくために必要だったからかもしれない、命を常に狙われる環境ではないから退化した機能なのかもしれない。

だから、脳みそで考えるしかないのかなと思う。今この環境で、誰が、何を、どのくらいするのが我が家のベストなのか、ということを。

 

その結果が、ヨザル的だったらそれはそれでいいと思う。でもヨザルのオスのようにできない旦那さんも、ヨザルのメスになれない産婦も、たくさんいると思う。その時にヨザルのオスじゃない夫を憎んでも腹を立ててもなんにもならない。

 

私、自分が子供を産んでみて、妊娠期間から産後しばらくホルモンの状態が安定しないあの時期の自分が、とても野生動物的だったなぁと思ったりします。人にお腹をさわられるとすごい嫌だったり、子を生んだ直後の猫のお母さんのように、赤子に近づく人にイライラしたりもしたし。

 

そんな、野生動物に近くなる時期、普段隠れてる野生の本能がちらっと出てくる時期だからこそ、野生動物を広い意味で参考にする必要があるのかもしれない。

トレンドに流されず、地に足つけて、今の自分たちにできるベストを模索すること、それが、野生動物が私たちにいま教えてくれていることかもしれないなぁと私は思ったりしております。

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