女の子同士の仲間はずれ
小学生(2年生)の娘の最近のお悩みはもっぱらお友達づきあいのこと。
仲良くしたいけどうまくいかないこともあるようでその愚痴や相談をよく話してくれます。娘の話を聞いていると、些細な行き違いや勘違いで仲違いしたりすることの他に、仲間はずれにされることがある、というものがチラホラ出てきます。
本人が「なんで仲間はずれにされるかわからない」とぼやいていて、あぁそういうの自分もよくあったなぁと思い出したりします。
娘はおそらくは定型発達のあたりをうろうろしているであろう学校での生活は問題なく過ごしているタイプの子ですが、なにぶん私の血を引いているので空気が読めなかったり口がすべってしまったりすることも集団の中であり得るだろうなぁ、と思ったり。
「仲間はずれにするなんて!」と言っても仕方の無いことなのでまぁ女の子同士はよくそういうことあるよねぇって愚痴をうんうんと聞きながら打開策は無いものかと考えておりました。
娘自身はなんでかわからないので対応のしようがない、と頭を抱えつつ「別に仲良しがいないときでも一人で遊んだり男子と鬼ごっこしたりするから別にいいんだけど」と言ったりもしているのであまり深刻には考えず様子を見ていたある日のことでした。
女の子同士の不思議な関係
娘を含む数人の女の子たちが校庭で遊んでいるところにたまたま遭遇したときのこと。
娘の口からよく「仲間はずれにされた」と名前が出る子たちの2人が連れ立って集団を離れ、1人の子(Aちゃん)がもう1人の子(Bちゃん)に何か要求しています。細かいやり取りは伏せますがいわゆる「連れション」に近い感覚の「うわぁそんなこと他人に要求するのか…」っていうレベルのこと。それを要求されている子はどう反応するんだろう…と思いつつ、私はそれを眺めながら正直「メンドくせえ」って思いました。つきあってられねぇ、って。そして小学生だった私も恐らくそう思ったり顔に出したり声に出して言っちゃったりするんだろうなと。
でも様子を見ていたらBちゃんは「はいはい」って嫌な顔せずに応じていたんですね。Aちゃんの要求を仕方ないなぁって感じで聞いてあげて、満足したAちゃんとまた仲良く遊び続けていて。
…あ、ここにヒントがあるのかな、とそこで気づきました。
娘に聞いてみました
数日後たまたま娘と2人になったので、先日の出来事を話して娘に聞いてみました。
「●●ちゃんはさ、それ言われたら「めんどくさいな」って思う?」
苦笑いしながらうなづく娘。
「それさ、顔にも出してしまったり、「いやだ」とか「めんどくさい」とか言っちゃったりしてない?」
再びうなづく娘。「だってそういうのつきあうのメンドクサイもん」
やっぱりなと。
母の考察はこうです。
そういう、相手の気持ちを考えずになんでも一緒にしたいとかくっついていたいとかそういうのを求めたり求められたりすることが「嫌じゃない」子たちがいるのかな?その子たちはお互いにそういう関係が嫌じゃないから仲良しグループでくっついていられるけどそうじゃない、嫌な顔しちゃう娘ちゃんはなんとなく外されちゃうんじゃない?
それに対する娘の回答はちょっと意外なものでした。
Bちゃんはね、Aちゃんのそういうのイヤって言ってたよ。でもね、イヤって言うとAちゃん怒るからやってるんだって。
イヤだけどやってあげる?
Aちゃんの要求をメンドクサイ、イヤだ、と思っている感情は娘もBちゃんも同じ。でもとっている行動はまったく違う。二人の何が違うんだろう、そこに娘がなんで仲間はずれにされることがあるのかわからない、という疑問の答えに繋がるヒントがあるような気がしました。
考えた時に行き着いたこと。
Bちゃんは、先を見通しているんじゃないかなと。
そしてそれが、娘にはまだできていなかったことじゃないかなと。
娘が見ているのは目の前の現実、イヤかどうか、やるかどうか。
でもBちゃんが見ていたのはその先の未来。自分の行動でAちゃんの態度がどう変わるのか、そして自分がどうなりたいのか。
Bちゃんの中には意図的か無自覚かはわからないけど、継続してAちゃんと仲良くしたいという気持ちと、そのためには今の自分のイヤだという感情をとりあえず抑えてAちゃんの要求をのんでおいた方が良いということを見通しているんじゃないかなと。
見通しを立てられるBちゃんと、苦手な娘
その先のこと、娘ちゃんは考えてた?と聴くと「ううん」と娘は首を振りました。ちゃんと考えてなかった、イヤだと思ってただけだった、と。
うん、そこがBちゃんと娘ちゃんの違いなのかな。Bちゃんは娘ちゃんよりすこしお姉さんなのかもしれないね、と娘に話しました。
娘の見通しを立てる能力が年齢相応なのか遅めなのかは現段階では私にもよくわかりませんが、少なくともそれを理由に自分が嫌な思いをしているのは間違いない感じです。
娘の「イヤ」と本当の気持ち
Aちゃんのように境界線を越えた要求を相手にするタイプの友人との関係には私もよく悩まされて来た記憶があります。それに対して自分を殺して仲良くし続けることが最善とは私は思いません。イヤなことを真っ向から「イヤ」と言える娘の力もまた、これから先役に立つこともあるんじゃないかと思っています。
ただ、今回思ったのは「娘が何を望んでいるか」ということ。
娘が「不快な思いをしてまで仲良くしたくない」と思うならその「イヤ」を貫いても良いのだろうと思います。でも娘は「それだと寂しいからAちゃんとも遊びたい、仲良くしたい」と望んでいました。彼女の目的は「遊び仲間でいたい」こと。だとしたら娘の「イヤ」を貫く姿勢はその目的に辿り着くための障害になってしまう。
Aちゃんと仲良くしたいという自分の目的に行き着くためには、時にワガママにも思えるその言動とうまく付き合っていく必要があるのかなと思います。概念ごと理解するのは娘にはまだ難しそうなので継続的にフォローしていくことになりそうですが。
言動と望んでいる目標地点のズレ
この、今の感情やそれに起因する言動と本人が望んでいる到達点がうまく繋がっていないという現象、我が子に限らず子供たちを観察していてよく見かけることでもあります。
目的を見据えて言動を決めることを無意識に出来るタイプの子もいるのだろうな、と思います。おそらくBちゃんはそういうタイプのお子さんなのかなと。
でも娘も含む、それが苦手なタイプの子やその発達が同年代の他の子より遅めの子は仲間はずれに限らず対人関係の中で「なんでそうなっちゃうのかわからない」と理由がわからないままにトラブルに直面してしまうことも多々あるのではないかと思います。
困りごとに直面した時、その目標地点を見据えて今の自分の感情をどう制御していくか、どう行動を起こすべきかを考える、その訓練を少しずつしていくことで自力でそれが出来るところまで辿り着けるようになるのかな、これ、大人でも訓練や意識し続ける必要があるよなぁ(自分も含めて)と改めて自省しています。
男女あまり関係ないと思って育ててはきたけど、息子たちとはまた少し違う女の子同士の人間関係に自分の過去を振り返りながら色々と考えさせられる毎日です。