スズコ、考える。

ぼちぼち働く4児のははです。

「考えを巡らす」「思いを馳せる」という習慣 〜ハーネス再燃に思うこと


昨日、久しぶりに幼児用ハーネスのことがまたTLに並んでいました。

発端はどうやらここのようです。

www.asahi.com

 

ブコメでも、痛いニュースでまとめられてたコメントのなかでも、賛否は両論、ただやはり非難している方の多くは印象だけで語っているようにも感じられ、残念な気持ちになりました。

 

前に書いたのはいつだったかと過去記事をたどったら、ハーネス3部作を書いたのはちょうど1年前でした。

 

結局、ハーネスとかどうでもいいんですよ。 - スズコ、考える。

幼児用ハーネス再考。 - スズコ、考える。

幼児用ハーネスが深刻な人権侵害なのかを考えました。 - スズコ、考える。

 

ハーネスの是非や炎上の背後についてはここで書き尽くした感があるので今日はちょっと違うことを。

 

幼児用ハーネスのツイートに混じって、こんなのが流れて来てました。

matome.naver.jp

 

飼い犬用のカートについて見た目の印象から「甘やかしじゃないのか」というネットで見られる意見について、飼い主側の内情が触れられていました。

私も愛犬が病気で歩けなくなった経験があるのでその頃を思い出してカートがあったら散歩に連れてってあげられたんだなぁと思ったりしました。

 

犬のカートも、幼児用のリードも、批判の多くの根っこは同じ、実情への無理解ではないかと思うのです。ぱっと見の印象で何かを感じることは誰にでもあることで、それがマイナスの感情でも湧いてくるものは仕方がない。でもそこから脊椎反射的に批判に転じる前に、それを選ぶに至るには「何か事情があるのかもしれない」と考えを巡らせることができる人でありたいなと、こういう論争を見ていて思います。

考える余力が無いときは、「なんかあるのかもな」と素通りするだけでもいいのかもしれない。

 

自分の今の経験や知識の枠の中だけで出した答えが、けして最適解ではないのだということを感じさせてくれた経験を最近しました。

スマホでやるゲームのingressを少し前からやっているのだけど、先日やっとレベルが8になりました。どのアイテムも使えるようになる、大台に乗った感じ。そのレベルに到達したときの自分の行動で、あれ?っと思ったんです。

 

自分のレベルが低い頃、周囲の高いレベルの方の動きが理解できないことが良くあったんですね。自分にとって不利な状況になってしまっていることもあって、もうちょっと配慮してくれたらいいのに〜とか、こうしてくれてたら良かったのに!とかモヤモヤしたり、ちょっとムカッとすることがあったり。

 

でも自分がL8になってみて、かつてモヤッとしていた高レベルさんたちと同じ動きをしていることがあったんですね、あぁ!あの動きにはこんな意味があったのか!だからあんなことしてたのか!っていう発見もゴロゴロ出て来て。低レベルの人向けにこうしとこうかなと思う行為を自分がやったあとで、前にあんな状態になってたのはこんな配慮があったからだったのか!って気づいたり。

 

でもレベルが低かった頃の自分にはまったくそれらの行動が理解できず、なんでそんなことしてるんだろうと思ってたし、時に不快感も抱いていたし、夫に愚痴ったりしたこともあったような気がする。あぁこれをネットで書いてたら、当時の私の見解が最適解だと思い込んで発言していたら、それはとても恥ずかしいことだったんだなぁと自分の思慮の浅さを痛感したのでした。

 

立ち位置がちょっと変わるだけで、ものの見え方は全然違ってくること、これ日常の中で実はかなりよくあることなんじゃないかと思う。でもそれは、立ち位置が変わってみないと実感は出来ない。歩く事に難のある犬の飼い主の気持ちは、飼い犬がそうなってみないと共感は出来ないし、多動児を育てる困難もまた同じ。「その気持ち、分かるよ」なんて同じ立場になってみないとほんとの意味では言えない。

 

でも。

同じ立場に立たなくても、同じ気持ちを共有できなくても、自分の経験や自分の知識の枠の中だけで答えを出さずに「そこになにかあるのかもしれないな」と想像を膨らませ思いを馳せてみたり、調べてみたり、人に聞いてみたり、自分が見えているものの先にあるものを掴むこと、掴めなくても存在を感じること、そうすることで、自分とは違う生活をしている人たちと共存していくことのハードルがもっと下がっていくのではないかなぁと、そんなことを考えています。

 

ハーネスの必要性についてはなないおさんのこの記事、たくさん読まれていますが改めて。世の中の様々な道具と同じように、ハーネスもまた普及が広まれば広まるほどマナーの悪い使い方、正しくない使い方をするユーザーもまた増えるのではないかと思います。でもそれは、マナーの悪い運転をする車の利用者がいるのと同じこと。それを理由に道具への非難、切実な理由で使っているユーザーへの非難に繋げてしまうことは悲しいなぁと思う。

なないおさんのこの呼びかけがもっと広がることを、そして発達障害児に限らず必要を感じる親御さんのハードルが上がらないように理解が広がっていくこと、ひいては親の負担が減ることで育児や自分の暮らしを楽しむ時間が少しでも増えて幸せな子どもたちが増えていくことを、多動児を育ててきた母の一人として願わずにはおれません。

nanaio.hatenablog.com

 

最後におまけ。

趣味も主義も職種も性格もまったく違うけどなんだかなかよしな二人を描いたこの本、共通項がなくても尊重し合えたら仲良く出来るんだなって思う、ときどき読み返してしまう一冊です。

るきさん

るきさん

 

 

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