投票日の昨日は1日中雨降りで、子供たちと家に缶詰。
それぞれにゲームをしたり動画を見たり読書をしたり。
小1の末っ子は最近また絵本を読んでもらいたいブームがきているようで、本棚から好きな絵本を持ってきては私に読めと言う。
数日前からよしながこうたくさんの絵本ブームがきているらしく『給食番長』を博多弁バージョンで読むとものすごくウケる。こんなに喜ぶならと雨の中図書館へ続編を探しに行ったけれど残念ながら全部貸し出し中だった。
こんな末っ子も数週間〜数ヶ月絵本に全く興味を示さない時期もある。それは他の子も同じで。
我が家は私が言われて嫌だったからと言う理由から「本を読め」と言ったことはほぼない。私や夫が好きで買い揃えた本が所狭しと置いているだけ。
初めは居室の中に1つ大きな本棚を置いていただけだったけれど、だんだん増えて今は寝室から廊下、玄関まで大小様々な本棚に雑多に色々と詰め込んで置いてある。
子供たちに読ませたいと実家から持ち帰ったダレンシャンやムーミンのシリーズは未だ見向きもされず時々埃をかぶっているのでヨシヨシを撫でてあげることもある。
ちょっと悲しいけど、でもそんなもんだろうな、それでいいんだろうな、と思う。
時期が来たら手に取ってくれたら、ううん、手に取ることがなくても本が身近にある経験だけをしてくれたら、とも思う。
本に触れて馴染んで育って欲しいなぁというのはなんとなくずっとぼんやりと感じて来たことで、じゃあどう良いのかはあまりよくわかってない。
でも日常の中でふと、あ、って思うことがたまにある。
例えば数日前のこと。
末っ子の登校の時の服について話している時に次男が
「私服の学校だから何を着て言っても良いんだよね?」と私に言う。
ピンと来た私が
「そうね、ナイルワニはダメだろうけどね」と返す。
この会話はある絵本の中の一節をなぞらえたもの。
ここで我が家ではプッと笑いが起こる。
その絵本を知らないとできない会話。
それを「教養」と言う言葉で表していたツイートに出会ったことがある。
博多で突然道路が陥没した事故が起こった時のこと。
「穴はなんでも飲み込んでくれた」と呟いた人がいた。
SF作家である星新一氏の「おーい でてこーい」の一節。
この小説を知ってればあれだ、とわかるし、知らなければなんの話なのかはわからないまま流れていってしまう。
この時のいろんな人のツイートの中に「これぞ教養」と呟いているものがあった。
なるほどなぁ、と。
私がなんとなく本をそばに並べて育てているのは、そういう些細な教養を少しずつでも身につけて欲しいからかもしれない。
落語を聴いていても背景について知っていなければ面白さがわからないことがある。
知っているから理解できること、知っているからわかる面白さ。
それは逆に言えば、知らなかったらわからない世界がそこにあるということかもしれない。
知らないままで流れていっていることがあるということ。
もちろん自分一人で何から何まで知るわけにはいかないけれど、自分に関わっていることでも知らないままいろんなことが流れていってしまう。
昨日の午後、子供たちを連れて投票所を訪れた帰り道「どうして大人は投票をするの?」と口にした末っ子にもわかるように、夫と二人あれこれと話す。
子供たちにとっての曽祖父母の世代ではどうだったのか、もっと前はどうだったのか、そして今どうなっているのか。どうやってそれを手に入れたのか。
参政権の歴史を知らなければ、今私たちが当たり前に手に入れていて子供たちが18歳になったら手にするその権利がどんな意味を持つものなのか、どれほど大切に守られるべきものなのかもわからないままかもしれない。
テレビや新聞や学校や読書、そして私たちを含む身の回りの大人たちから、子供たちはたくさんの自分では考えつくことのない情報を仕入れながら育っていく。
より良い情報に触れて欲しいと願うのと同時に、自分も含め周りの大人たちが間違った情報を与えてしまうのではないかという畏れを感じることもある。
自分の頭で自分の道を考えられる大人になってくれるように、自分の力で必要な情報を取りに行ける大人になれるように。そう願いながらタネをまくように子供たちと言葉を交わし本棚の本を増やしていく。
昨日投票所で見聞きしたこともまた、子供たちにとって一つの教養のタネになっていると良いのだけれど。
「ナイルワニ」のネタが出てくる絵本。
読み聞かせの時間にもよく持っていく一冊です。
末っ子さんのお気に入り「給食番長」
内容としてはやや教訓めいてますが、実際に読み聞かせてみると面白さの方が先に立ってそんなの全然子供たちには届いてない感じで、それがまた私が好きなところでもあります。
おーいでてこーい ショートショート傑作選 (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 星新一,加藤まさし,秋山匡
- 出版社/メーカー: 講談社
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「おーい でてこーい」青い鳥文庫で出ているのだなぁ。
私が持ってるのはショートショートセレクションの中の1冊
和田誠さんのイラストが良いのです。