先日、TwitterのTLに流れてきて「これは次男に必要なエッセンスが詰まっているのでは…!」と光の速さでポチった本が手元に届いたので、早速読んでみました。
著者は、自身も発達障害当事者であり、ご自身の経験をもとに鬱や発達障害による離職からの復帰を支援する活動をされている安田祐輔氏。
低偏差値から国際基督教大学に合格した実績をお持ちだとのことで、勉強に臨むためのノウハウが詰まっている一冊になっているようです。
本書の対象となっているのは学生ではなく社会人のようです。
シリーズ(検索したら6冊同じようなタイトルと体裁の本がありました)全体が成人向けなのかは他を読んでいないためちょっと分からないのですが、社会人としてフルタイムで働きながら資格などのために勉強する人を想定している作りになっています。
ただ、勉強する時間の捻出の方法については中高生にも十分応用できるものだなぁと感じました。
スマホや百均の雑貨などのツールを活用した勉強法がたくさん詰まっているので本人のやる気さえあれば役立つハックがたくさん詰まっている感じですね。(それが一番ハードルが高いんですが…)
想定されている年齢が高く、学校も予備校や資格取得のためのビジネススクールなどを想定して書かれているため、講義に関してやツール活用については年齢が低い層だとすぐに役立つハックはあまり多くないかもしれません。
(もちろん参考にできるものもあるとは思いますが)
「そう、それ!」と思う章立ての妙
第1章はスケジュールと段取りの対策。
第2章は過集中と寝起きの対策。
第3章は理解力と集中力の対策として授業を受けやすくなるハックを。
第4章は継続力と環境づくり対策。
第5章は忘れ物とプレッシャー対策として試験本番に向けた不安解消のノウハウを。
網羅されているトピックはどれも当事者であれば「そうそう、それ!」と膝を打つようなものだなぁと思いました。
次男の学習に向けた困難もおおかた含まれているように思います。
見やすくまとめられた、見開き2ページごとのハック
それぞれの章の中にさらに3〜10くらいの小見出しがあります。
「スケジュールが立てられない」
「何から手をつけていいか分からない」
「講義を行きながらノートを取れない」
「勉強中ついスマホを見てしまう」
「大事な試験に忘れ物をしてしまう」
など「あぁそれそれ…」とため息をつきたくなるような具体的な困難が挙げられ、それぞれのトピックについて見開き2ページにイラストを添えてまとめられています。(内容量が多く、2ページ以上になっているところもあります)
1つの小見出しにつき事例・原因・解決法・工夫イラストがそれぞれ書かれており、ADHDやASDそれぞれの特性がどう影響しているのかの解説や、それぞれの特性をカバーするための対策が紹介されています。
具体的に紹介されているツールやアプリ
スケジュール管理の対策のひとつとしてGoogleカレンダーが紹介されているのですが、設定の仕方が画像付きで丁寧に紹介されています。
やり方がわからなくなったからめんどくさくてやめちゃう、という経験のある当事者としては非常にありがたい図解だと思いました。
他にも学習時間のばらつきを可視化するためのツール「toggl(トグル)」やiPhoneのNight Shift(設定した時間に明るさを下げたり色調を変えたりする機能)も同様の図解が掲載されています。
Androidでのやり方も載せて欲しかったなぁと、そこはちょっと残念ポイントです。
他にもEvernoteの活用法や学習アプリなども紹介されています。
私も活用していて足を向けては寝られない「リマインくん(LINEを使ってアラートを鳴らしてくれるツール)」も丁寧な設定手順付きで紹介されていました。
また、デジタルツールだけでなく秒針の音が静かな掛け時計や速度を選んで再生できるICレコーダー、耳栓、お風呂で読める防水の参考書など、アナログツールも色々と紹介されていて、試してみる価値ありなグッズがたくさん掲載されていました。
いいなぁと思った、質問のやり取り事例
これいいなぁと思ったのが、講義の後に質問をしにいくためのやり取り事例です。
次男も苦手なことなのですが、気になったことを質問するハードルがすごく高くなってしまったりしますよね。
聞き方をミスって先生にうまく伝えられなかったり、聞きたいことをうまく話せなかったり。
具体的な原稿を自分で作ってパターンを想定しておくことで、その場で困らずやりとりをする準備ができていいなぁと思いました。
第3章の「講師に質問できない」のところに質問テンプレートの例が載っています。
おわりに
本書の裏表紙に書かれている「勉強に関する困った」がなくなる!というキャッチコピー、読み終えた感想として「そう言える程度の内容は詰まっているな」と感じました。
ただ、やっぱり保護者としての感想は「この本の内容を実践しよう!と思えるまでが難しいんだよ…」というところですね。
本人に学ぶ意欲があり、なんとかしたいと思っていて、方法を模索している当事者にとっては自分に合った学び方を知るための情報がぎゅうぎゅう詰まった一冊だなぁと思います。
思春期の息子にこの本をハイと渡したところで実践への道は遠そうだなぁ…とは思うので私の手元で温めておいて、必要なターンが来たところで役に立つといいなぁ…という感じでしょうか。(あとは自分が勉強したくなったときや仕事に集中したいときに活用できるかもしれない)
内容としては特にデジタル関連の話題に関してはどんどんアップデートされていくものなので多分1年も経てば内容が古くなってしまうんだろうなぁとは思います。
そういう意味で、購入を考えている方は早ければ早いほど役に立つ一冊かもしれませんね。